低侵襲手術について

低侵襲手術とは

当科では積極的に低侵襲手術を導入し、患者さんの負担軽減に努めています。低侵襲手術とは腹腔鏡を用いることで皮膚切開をより小さくし、術後の疼痛や体力低下、入院日数を最小限にすることを目的にした手術の総称です。患者さんの病気の部位や程度によって、すべての手術を低侵襲手術で行うことは難しいですが、当科で扱う手術の約30~40%が腹腔鏡を用いた術式になっており、年々増加しています。


腹腔鏡下胃切除術
早期胃癌を適応としています。進行胃癌の場合は、まだ腹腔鏡手術と開腹手術が同等の成績が得られるかわかっていないため施行していません。カメラなどを入れるための穴が5箇所、切除した胃を取り出すための傷(3~7cm程度)のみで施行するため、開腹手術と比較し痛みが減り患者さんの体への負担は軽減されます。

腹腔鏡下大腸切除術
腹腔鏡を用いて結腸や直腸を充分に授動したのち、最小限の傷で大腸を切除、吻合する術式です。腫瘍の位置や進行度によって従来の開腹手術か腹腔鏡手術か最善の方法が選択されます。傷が小さくすみますので、在院日数の短縮や創痛低減などメリットがあります。

腹腔鏡下肝切除術
基本的に肝切除が必要なあらゆる疾患が対象になります。従来法に比べ圧倒的に傷が小さく体への負担を軽減することが可能ですが、高度な技術が必要とされます。2017年4月よりすべての肝切除の術式が腹腔鏡下で保険適応され、当院は腹腔鏡下肝切除の施設基準認定施設と認められています。また、当院は日本肝胆膵外科学会高度技能修練施設に認定されており、高度技能指導医や専門医かつ内視鏡外科技術認定医である医師がいます。

腹腔鏡下胆嚢摘出術
腹腔鏡を用いた外科手術としては最も歴史のある術式で、最も普及しています。胆石症、胆嚢腺筋症、胆嚢炎などの治療として行われます。当科ではクリニカルパスを導入しており、予定手術の場合は手術前日に入院していただき、術後2~3日目で退院を標準コースとしています。ただし重度の胆嚢炎を併発している場合などは、この限りではありません。

腹腔鏡下膵切除術
膵臓の良性疾患または低悪性度腫瘍で膵体尾部に存在するものに限られます。従来法に比べ圧倒的に傷が小さく体への負担を軽減することが可能ですが、腹腔鏡下肝切除と同様、高度の技術が必要とされます。当院は日本肝胆膵外科学会高度技能修練施設に認定されており、高度技能指導医や専門医かつ内視鏡外科技術認定医である医師がいます。

腹腔鏡下大網充填/被覆術
胃や十二指腸に穴が開いた(穿孔)場合は、内容物が腹腔内に漏出して穿孔性腹膜炎を発症します。治療は腹腔鏡を用いて大網(たいもう)と呼ばれる脂肪組織で開いた穴を埋め閉じたり被覆したりします。

腹腔鏡下鼡径ヘルニア修復術
現在、下腹部に約4~5cmの傷をつけて腹壁の弱い箇所を修復する方法(前方アプローチ)が主流ですが、腹腔鏡を用いてお腹の内側からヘルニアを修復する方法が近年増えてきています。当科でも2013年より当術式を導入しています。ヘルニアの大きさや罹患期間、全身状態、手術既往歴を勘案して術式を決定します。鼡径ヘルニア以外の腹壁瘢痕ヘルニア、白線ヘルニアにおいても腹腔鏡を応用した低侵襲術式を施行しております。

腹腔鏡下虫垂切除術
急性虫垂炎に対して施行することが多く、傷口が小さく美容面でも優れています。基本は3カ所の傷で行っていましたが、最近では1カ所の傷(穴)から手術を行うことも可能になり、症例数が増えています。

腹腔鏡下イレウス(腸閉塞)解除術
腸閉塞には様々な原因がありますが、先ず腹腔鏡で腹腔内を観察し原因検索することが可能です。腹腔鏡のみで原因修復も可能な場合もありますし、困難な場合でも最小限の開腹創で修復が可能になります。