ご挨拶
診療科長
阿部 晋衛
当科は75歳以上の後期高齢者に対して臓器別ではなく全人的な診療を行うことをモットーにしています。しかし、マンパワーの問題、当センターが複数の専門科が集まっている病院であることを鑑みて、現在は高齢者の血液疾患・神経疾患・認知症に特化した診療を行っております。なお、初診患者さんに多くの診療時間が必要な科の特性から、初診患者さんの診察は紹介状ご持参の方のみに制限させて戴いております。また勝手ながら、診療時間の関係から「物忘れ患者さん」に関しては1日2名までに制限させて戴いております。3番目以降の方は採血検査、心理テスト(枠が空いている場合)を行って戴き、次回の予約を取ってから改めて受診して下さるようお願い致します。
以上、ご迷惑をおかけいたしますが、当科の特性をご理解下さるよう、何卒、宜しくお願い申し上げます。
専門外来、特殊外来
・骨粗鬆治療
・物忘れ専門の外来
※いずれも一般外来内で行っています。
対象となる疾患
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神経疾患
脳血管障害(急性期、慢性期脳梗塞)、神経変性疾患(パーキンソン病)、認知症疾患(アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、その他の認知症)、筋肉疾患、末梢神経疾患等。
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血液疾患
貧血(鉄欠乏性、溶血性、腎性、悪性等)、血小板減少性紫斑病、骨髄増殖性疾患(慢性骨髄性白血病、多血症、多血小板血症等)、骨髄異形成症候群、急性白血病、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫等。
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呼吸器疾患
実質性肺炎、間質性肺炎、気管支喘息、肺気腫、胸膜炎等。
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代謝・内分泌系疾患
甲状腺疾患、副甲状腺疾患、糖尿病、高脂血症等。
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循環器疾患
高血圧、狭心症、慢性心不全、うっ血性心不全、不整脈等。
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骨運動器疾患
骨粗鬆症、慢性関節リウマチ等。
行っている治療
血液疾患
骨髄異形成症候群に対するアザシチジン、エリスロポエチン治療。
再生不良性貧血、特発性血小板減少症に対する免疫抑制剤、エルトロンボパグオラミンによる治療。
多発性骨髄腫に対する、免疫調整剤、抗がん剤治療。
悪性リンパ腫(ホジキン、非ホジキンB細胞型・T細胞型)、急性白血病(骨髄性・リンパ性)、慢性白血病(骨髄性・リンパ性)に対する抗がん剤治療。
神経疾患
アルツハイマー型認知症・レビー小体型認知症・脳血管性認知症・その他の認知症に対する薬物療法。パーキンソン病、パーキンソン症候群に対する薬物治療。急性期脳血管障害に対する保存的治療。
主な診療実績(2018年度)
<血液疾患>
悪性リンパ腫120例、急性骨髄性白血病2例、慢性骨髄性白血病3例、多発性骨髄腫20例、再生不良性貧血1例、骨髄異形成症候群15例、特発性血小板減少性紫斑病3例。
<神経疾患>
アルツハイマー型認知症350例(初診80例)、レビー小体型認知症20例(初診10例)、脳血管性認知症30例(初診10例)、その他の認知症10例
高齢診療科の歴史
高齢診療科は、東京医大老年病科としては、1971年に設立され、設立時の主任教授勝沼英宇先生が血液内科出身であったことから、高齢医学を専門とする全国20大学の講座のうちでも、高齢者の血液疾患の診療を大々的にうたっている数少ない臨床科といえます。
当科は、老年病科として八王子医療センターに1995年に設立されました。7月1日から名称を高齢診療科に変更となりました。現在、准教授(科長)1、講師1、助教2名(うち非常勤1名)から成る小所帯ではありますが、入院患者は多摩地区、山梨県、神奈川県から集まってくる高齢者血液疾患を中心に、外来では、1999年から一般外来の枠内で「物忘れ」患者さんの診療を行ってきました。現在までに「物忘れ精査」で受診した初診患者数は優に3500人を超えています。
その大部分に認知症を認め、そのうちの60%がアルツハイマー型認知症でしたが、診断の難しいレビー小体型認知症も10%程度含まれています。今後も認知症患者は確実に増加していくと思われ、その中で当科は、八王子認知症ネットワーク(Dネット)における認知症診断の中核病院として参画することで、多摩地区の地域医療にも貢献しております。さらに多くのアルツハイマー病治療薬の治験も行い、新薬承認の期待に応えてきております。
このように当科の守備範囲は、白血病から認知症まで広範囲にわたり「複数の疾患をかかえるお年寄りに対して、臓器別ではなく、全人的な治療を行う」を信条に日々診療、研究活動を行っております。
高齢診療科 Q&A
高齢診療科とはどんな科ですか?
高齢診療科という科は皆さんにとって馴染みの薄い科と思いますが、現在全国80の大学医学部のうちの1/4にあたる20大学に講座または臨床科があり、臨床、研究面で多くの活動をしています。
当科の特徴は、「複数の疾患をかかえるお年寄りに対して、臓器別に治療するのではなく、全人的に治療する科」といえます。具体例をあげましょう。高血圧、糖尿病、原因不明の貧血を持つお年寄りが脳梗塞になったとしましょう。臓器別で受診する場合、脳外科(または脳神経内科)、循環器内科、内分泌内科、血液内科の4科にかかることになり、時間的、体力的に大変です。また、各科から薬が処方されると、同種薬の重複処方の恐れもあります。このような複数疾患を一人で抱えるお年寄りを、一つの科でまとめて治療しようとするのが当科の特徴です。なお、一般的には65歳以上を老人と定義していますが、当科では75 歳以上の高齢者を対象に、2名の日本老年医学会老年病専門医が外来を担当し、高度かつ先進的な医療水準の維持に努めています。
老年病ってどんな病気ですか?
「人は血管から老いる」と言われるように、老化現象の一つに動脈硬化があります。そして、動脈硬化から生ずる病気の代表として、脳梗塞、心筋梗塞等の血管の詰まる病気があります。しかし、血管の病気以外にも免疫の低下から癌になったり、自己免疫疾患になったりもします。生活習慣病である糖尿病、高脂血症も高齢者に多く見られます。呼吸器疾患では、慢性閉塞性肺疾患(肺気腫)も高齢者の代表疾患です。他にも多くの疾患がありますので、「老年科の対象疾患」にまとめて記載します。
これらのなかでも「認知症」は老年科にとって重要な疾患です。認知症は大きく、アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症の2つに分かれますが、近年わが国でもアルツハイマー型認知症が確実に増加してきており、社会問題となっています。アルツハイマー型認知症は、記憶障害(物忘れ)に加えて早期から時間や場所の感覚が障害され、性格変化が出るのが特徴です。数年前までアルツハイマー型認知症は治療法の無い不治の病でしたが、現在は早期に発見して治療を始めることで、認知症の進行を遅らせることが可能となりました。当科では1998年から「物忘れ専門の外来」を行っており、多くの認知症の患者さんを診断、治療してきています。ご家族の方の認知症症状に気づいた際には、当外来を受診してください。
医師紹介
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講師 科長
あべ しんえ
阿部 晋衛
担当曜日
月・土
[特に専門とする領域]
高齢者神経疾患・老年病全般
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臨床講師
はたなか ひろくに
畑中 啓邦
担当曜日
木
[特に専門とする領域]
高齢者神経疾患・老年病全般
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助教
さくらい しゅう
櫻井 周
担当曜日
金
[特に専門とする領域]
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兼任教授
かなや きよし
金谷 潔史
担当曜日
水
[資格・その他]
日本老年医学会 指導医
日本老年医学会 指導専門医
日本内科学会 認定医
日本医師会 認定産業医
日本認知症学会認定専門医
日本認知症学会 認定指導医
[特に専門とする領域]
認知症・高齢者神経疾患・高齢者血液疾患・老年病全般
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非常勤助教
ふじい ひろこ
藤井 広子
担当曜日
火
[資格・その他]
日本老年医学会 認定専門医
日本内科学会 認定医
[特に専門とする領域]
認知症・高齢者神経疾患・老年病全般
休診・代診情報
現在、休診・代診情報はございません。