医療の質指標

診療受付時間

月曜日〜金曜日  8:30〜11:00
第1・3・5土曜日  8:30〜10:00

休診日

日曜日 / 祝日 / 第2・4土曜日
4月の第3土曜日 / 年末年始

住所

〒193-0998
東京都八王子市館町1163番地

042-665-5611
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全体指標

臨床評価指標(クリニカルインディケーター)とは、医療の質を定量的に評価する指標のことである。病院の様々な機能、実際に行われている医療の経過や結果などを数値化し、経年比較や他病院とのベンチマーク分析により、問題点を把握、改善することを目的としている。
当院では厚生労働省「医療の質の評価・公表等推進事業」の臨床評価指標を参考に分析し、医療の質の向上に努めている。

【1】在院日数 DPC病院の在院日数(全国平均以内の割合)

指標の意義

DPCの各入院期間は、全DPC病院のデータをもとに決定されており、ここで設定されている期間が、現在のDPC病院の標準と言うことになります。Ⅱ期間は全国の平均在院日数で設定されており、DPC病院の目指すべき指標となる。

指標の定義・算出方法
年度 割合
2019年 61.4
2020年 61.3
2021年 60.6

分子:入院期間Ⅱ以内の退院数
分母:退院症例数(DPC分析対象)

分析・考察

Ⅱ期間以内の割合は年度でみると大きな差はないことが分かる。月別でみると新型コロナ患者の受け入れ状況により患者数は減少している。新入院患者数も増えていない。全体的にみると患者数は減少しているが率としては大きな差がないことから、半数以上はⅡ期間以内に退院していることが分かる。

【4】入院早期の栄養ケアアセスメント実施割合

指標の意義

早期に低栄養リスクを評価し適切な介入をすることで、在院日数の短縮、予後改善につながる。

指標の定義・算出方法
年度 A B
2019年度 85.4 100
2020年 89.0 100
2021年 93.6 100

分子:A)入院3日目までに栄養ケアアセスメントが行われたことがカルテに記載された患者数(急性期病棟)
   B)入院7日目までに栄養ケアアセスメントが行われたことがカルテに記載された患者数(急性期以外の病棟)
分母:A)当該月の65歳以上退院患者数(急性期病棟)(3日以内の検査入院、短期手術入院患者を除く)
   B) 当該月の65歳以上退院患者数(急性期以外の病棟)(3日以内の検査入院、短期手術入院患者を除く)

分析・考察

急性期病棟において、3日以内に栄養アセスメントが行われた割合は年々上がってきている。
早期栄養介入管理加算を算定していたが、ICU担当の管理栄養士が出産のため長期休暇となり休止状態となっている。人員補充が行われ再稼働すれば、さらに適切に急性期病棟の栄養ケアアセスメントが行われると思われる。

【5】褥瘡発生率

指標の意義

褥瘡予防対策は、提供されるべき医療の重要な項目であり、栄養管理、ケアの質評価にかかわる。また患者のQOLの低下により、在院日数の長期化や医療費の増大につながる。

指標の定義・算出方法
年度 割合
2019年度 0.07
2020年 0.08
2021年 0.10

分子:d2(真皮までの損傷)以上の院内新規褥瘡発生患者数
分母:同日入退院患者または褥瘡持込患者または調査月間以前の院内新規褥瘡発生患者を除く入院患者延べ数(人日)

分析・考察

自動体位変換機能付き高機能型体圧分散寝具37台を集中治療が必要な部署へ配置、標準的な高機能型体圧分散寝具87台と合わせて計124台を高度に褥瘡形成リスクがある方に使用している。中等度のリスクの方に対しても10cm以上の厚みがある体圧分散マットレス307枚保有し、院内で規定された体圧分散マットレス選択基準を活用し、褥瘡発生リスクの低減を図っている。
2021年度の褥瘡発生の82%はd2(真皮までの損傷)で発見され早期に対応がされている。新型コロナウイルス患者の重症例での褥瘡発生件数が増加傾向にあり、現在その対策方法やケア方法についての検討を行っている。院内での褥瘡治療・ケアに携わる専任の医師と看護師とのカンファレンスの充実、質の向上を目指して年間の研修計画を実施している。

【6】転倒転落発生率

指標の意義

転倒・転落を予防し、外傷を軽減するための指標。特に、治療が必要な患者を把握していく。転倒・転落を予防し、発生時の損傷を軽減する。

指標の定義・算出方法
年度 発生率 損傷率
2019年度 2.4 0.04
2020年 2.2 0.07
2021年 2.0 0.06

(単位:‰ パーミル 千分率)

分子:A)報告のあった入院患者の転倒転落件数
   B)入院中の患者に発生したインシデント・アクシデント影響度分類レベル3b以上の転倒・転落件数
分母:入院患者延数

分析・考察

2021年、発生率は若干減少しているが、内容を分析すると、①発熱、貧血、下痢を起こしていた。②睡眠導入剤、利尿剤等を服用していた。③踵のない靴を履いていた。④動けるだろう、大丈夫だろうと認識していたということが確認できた。引き続き患者さんへの説明を十分に行い、患者と共に転倒防止策を行っていく。

【7】病棟における薬剤関連事故事象発生率

指標の意義

薬品安全管理者・薬剤師の病棟での役割のアウトカムとして。

指標の定義・算出方法
年度 病棟における薬剤関連事故事象発生率(件)
2021年 0.53*参考値

分子:薬剤投与間違い、注射投与間違い
分母:入院患者延数(24時在院患者+退院患者数の合計)

(当院インシデントレポート報告システム〈Safe Master〉抽出項目 表1)

抽出項目:発生内容(一般・事例内容・薬剤・与薬)
抽出項目:発生内容(一般・事例内容・薬剤・与薬準備(ENT渡し忘れを除く)
*注1 今回の分子データには外来部門での上記エラーが含まれている
*注2 同じエラーを重複で報告している件数も含めている

分析・考察

当院のインシデントレポート報告システム〈Safe Master〉をデータベースとして2021年度のインシデントレポートから薬剤過剰・過少投与に関する報告数を抽出した。その結果(抽出項目は表1参照)月平均で67件・1日2件~3件のエラーが抽出された。しかし、この数字だけでは処方から投薬までのどの段階でのエラーが起きていたのか分からないため、数字の多少では詳細な評価はできないと考えられた。今後はエラーの背景を分析することで対応可能なエラー背景に気付けると思う。
また、インシデント報告入力の際に、抽出項目を選択していない可能性もあること、外来部門報告を溯ってデータから省くことは困難なため、2021年度は参考値とした。2022年度からは、報告されたインシデントレポート内容と抽出項目の一致を確認し、データの制度を上げる必要がある。

【8】中心静脈カテーテル挿入時の合併症の割合

指標の意義

他施設よりも値が特に高い施設では再発予防に向けた安全管理を見直す契機になる。

指標の定義・算出方法
年度 中心静脈カテーテル挿入時の合併症の割合(%)
2019年度 0
2020年 0
2021年 0.16

分子:分母のうち医原性気胸発生症例
分母:中心静脈カテーテル挿入を受けた症例

分析・考察

2021年度に1件気胸の合併症が発生した。発生した症例は中心静脈カテーテル委員会にて検討し、再発防止に繋げている。引き続きマニュアルの改訂、初期研修医への実技研修、中心静脈カテーテル講習会のWEB講習会も実施し、事故防止に努める。

【9】インシデント・アクシデント

指標の意義

身体への侵襲を伴う医療行為は常にインシデント・アクシデントが発生する危険がある。その発生をできる限り防ぐことは医療安全の基本である。ハインリッヒの法則によると、1件の重大事故の背後には29件の軽微な事故がありその背景には300の異常が存在するといわれている。軽微な事故、事故に至らない異常を発見し報告することで重大事故の発生を予防することが必要である。一般に医師からの報告が少ないことが知られており、この値が高いことは医師の医療安全意識が高い可能性がある。

指標の定義・算出方法
年度 A)1ヵ月間・100床あたりのインシデント・アクシデント発生件数 B)全報告中医師による報告の占める割合
2019年度 51.8 6.4
2020年 49.6 7.7
2021年 50.9 10.4

分子:A)調査期間中の月毎のインシデント・アクシデント発生件数×100
   B)分母のうち医師が提出したインシデント・アクシデント報告総件数
分母:A)許可病床数
   B)調査期間中の月毎のインシデント・アクシデント報告総件数

分析・考察

発生件数に関しては3年間で数値に大きな変動はない。100床あたり50件前後で推移している。
医師の報告数割合は年々増加傾向している。引き続き報告文化を継続していき、報告内容を分析していき事故の未然防止に繋げていく。

【10】注射針およびそれに準ずる鋭利な器具による皮膚の損傷からの血液曝露事例件数

指標の意義

他施設の状況を知り比較することで、職員のリスク意識を高め、安全管理をすすめる。

指標の定義・算出方法
年度 件数
2019年度 46
2020年 39
2021年 18

分子・分母:注射針およびそれに準ずる鋭利な器具による皮膚の損傷からの血液曝露事例件数

分析・考察

前年度より件数が減少した。師長会などで看護師に対しての注意喚起だけだったので、今年度は他職種に向けても行う。

【11】中心静脈ライン関連血流感染発生率

指標の意義

・血流感染は重篤な転帰となることが多いことから、マキシマムプリコーションが一般的には推奨されている。感染予防策・手技の徹底だけでなく、栄養状態の改善、栄養摂取方法の選択、他感染症の治療の適切性、コンタミネーションの鑑別・防止含めて総合的な質が求められる。留置日数が長くなればリスクも高い。発生率(対1000人日)で表す。
・院内感染対策の充実度、特に刺入部のケアや一般的な清潔操作の遵守を反映。ただし、感染症サーベイランスが未整備であると実際より低く表示されることに注意。

指標の定義・算出方法
年度 感染率 デバイス比
2019年 1.7 0.07
2020年 1.4 0.07
2021年 1.6 0.07

分子:当月の中心ライン関連感染患者数
分母:当月患者の中心ライン留置延べ日数

分析・考察

年度によるデバイス比の変化はないため、デバイス比が減少すれば、感染率も減少すると考える。今後は、陽性例の挿入時・挿入中の管理を把握し、リアルタイムに介入を行う。

【12】総黄色ブドウ球菌検出患者の内のMRSA比率

指標の意義

黄色ブドウ球菌自体は皮膚に常在する場合があり、従って単純にMRSAの検出患者数をモニターした場合は、結果が検査数に影響を受けるため、総ブドウ球菌数を分母とすることで標準化する。

指標の定義・算出方法
年度 平均値
2019年度 35.0
2020年 28.5
2021年 35.0

分子:期間内のMRSA検出入院患者数
分母:期間内のS.aureus(黄色ブドウ球菌)検出入院患者数

分析・考察

対象となる3年間の比較では、MRSA比率は2020年度がやや低い。MRSA検出者数でも2020年度が一番少ない。2021年度はいずれの数値も前年度より増加しており、以前の水準に戻ったようにみえるが5年前(2017年度:39% 223名)より大きく下がっている。2019年度~2021年度における総黄色ブドウ球菌に占めるMRSAの比率は減少傾向で経過したのち下げ止まった状態と思われる。

【13】アルコール手洗い洗剤使用割合

指標の意義

感染対策の基本である手指衛生を、順守する目安とする。

指標の定義・算出方法
年度 割合
2019年度 17.4
2020年 27.0
2021年 26.6

分子:使用量(払い出し量)(ml単位)
分母:延入院患者数(24時在院患者+退院患者数の合計)

分析・考察

2020年2月からコロナ患者を受け入れており、院内全体で適切な手指衛生に対する認識が高まっている。

【14】職員の予防接種

指標の意義

医療機関を受診する患者は、免疫力が低下していることが多く、病院職員からの感染を防止する必要がある。

指標の定義・算出方法
年度 割合
2019年度 87.9
2020年 90.2
2021年 89.8

分子:インフルエンザワクチンを予防接種した職員数
分母:職員数

分析・考察

予防接種の接種率の推移はほぼ横ばいです。

【15】カテーテル関連尿路感染症発生率

指標の意義

指標の定義・算出方法
年度 感染率 デバイス比
2019年 1.9 0.15
2020年 1.6 0.16
2021年 2.0 0.16
分析・解析

年度によるデバイス比はほとんど変化はないが、感染率が増加しているため、挿入時・挿入中の管理に問題がある可能性がある。尿道カテーテル留置の適応も含め、介入していく。

【16】塩酸バンコマイシンでの血中濃度

指標の意義

抗MRSA薬の使用に際し、有効血中濃度の維持、副作用の抑制、耐性化の回避のため、治療薬物モニタリング(TDM)が重要である。院内感染対策での質の評価として、投与3日目以降は投与前に血中濃度測定を行い、治療薬物モニタリング(TDM)ができているかどうかを調べる。

指標の定義・算出方法
年度 割合 ①TDMを行うべき抗MRSA薬で4日以上投与 ② ①のうち血中濃度測定された症例
2019年度 98.6 221 218
2020年 99.6 260 259
2021年 99.2 258 256

分子:分母のうち、薬物血中濃度を測定された症例
分母:TDMを行うべき抗MRSA薬を4日以上投与された症例数

【18】リハビリテーション実施率

指標の意義

廃用症例群や合併症を予防・改善し、早期社会復帰につなげる。

指標の定義・算出方法
年度 A) B) C)
2019年度 15.4 1.44 3,142
2020年 17.3 1.56 2,814
2021年 17.4 1.57 2,863

分子:A)疾患別リハビリ(PT、OT、STいずれか)を実施した退院患者数(在院日数3日以内は除く)
   B)疾患別リハビリ総単位数
   C)疾患別リハビリ総単位数
分母:A)退院患者数(在院日数3日以内は除く)
   B)訓練実施をした患者の訓練実施日数の総和
   C)資格を有するリハビリテーション職員数の当月1日の人数と月末の人数の和を2で割った値

分析・考察

全体を通しての患者のリハビリ施行率を挙げたが、今後は疾患毎にデータを取得すると、リハビリ提供量が検討できると思われる。また、平均値を目標として単位数向上を目指す。廃用症候群や合併症を予防し、早期の社会復帰に繋げるため、リハビリ施行によるFIMなどを用いた質的向上の評価も示していきたい。

【19】誤嚥性肺炎に対する嚥下評価・訓練実施割合

指標の意義

誤嚥性肺炎の多くは嚥下障害によって引き起こされる。喉頭ファイバースコピーや嚥下造影検査によって患者の嚥下機能を評価し、適切なアプローチ(治療、摂食・嚥下訓練、リハビリテーション、音声訓練など)につなげる。

指標の定義・算出方法
年度 A B
2019年度 18.0 11.6
2020年 8.6 9.0
2021年 8.1 11.0

分子:A)分母のうち嚥下評価または嚥下訓練を実施した退院患者数
   B)分母のうち「D299喉頭ファイバースコピー」または「E0037造影剤注入手技 嚥下造影」検査が行われた患者数
分母:入院中に誤嚥性肺炎の診断のついた退院患者数

分析・考察

誤嚥性肺炎と診断された患者への嚥下評価のリハビリ介入度を表している。喉頭ファイバースコピーや嚥下造影検査の実施率は1割となっているが、必要に応じての客観的評価として導入していくことは大切だと思われる。また、誤嚥性肺炎と診断のついた患者に適切に嚥下の評価・訓練を行うことで、フレイル予防やサルコぺニアの発症率を下げるものと考えられる。

【20】薬剤管理指導(服薬指導)

指標の意義

薬剤師の薬学的管理指導は、医療改善につながる。
服薬指導により薬物療法に対する安全性や有用性を患者が認識すれば、アドヒアランスの向上(患者が積極的に治療方針の決定に参加し、その決定にそって治療を受けること)に繋がると期待される。

指標の定義・算出方法
年度 入院患者 薬剤管理指導実施率
2019年度 14913 41.3
2020年 12977 54.8
2021年 13265 51.3

分子:分母のうち薬剤管理指導を受けた患者数
分母:入院患者数

分析・考察

実施率とは入院中に1回以上薬剤管理指導を行った割合を示す値であり、約半数の入院患者に実施されていた。薬剤師の増員等により重複が禁止されている病棟薬剤業務時間との兼務が減少することで、実施率は向上できることが考えられる。

【21】薬剤師介入までの日数

指標の意義

薬剤師の薬学的管理指導は、医療改善につながる。入院早期の介入によるリスク回避(持参薬評価、副作用歴、転倒リスクなど)や処方設計に必要なアセスメントの実施状況をみる。

指標の定義・算出方法
年度 最頻値 薬剤管理指導延べ件数
2019年度 1 5918
2020年 1 7742
2021年 1 6710

分子:分母のうち、入院日から薬剤指導管理実施を最初に算定された日までの日数
分母:入院症例のうち、薬剤管理指導を受けた症例数

分析・考察

中央値、最頻値ともに「1」であることから、薬剤管理指導を行ったほとんどの症例は入院当日に薬剤師が関わっていた。入院時に薬物体内動態、アドヒアランスを含めた総合的な薬物療法の評価を行っていたことになる。

【25】退院後7日以内の予定外・緊急再入院割合

指標の意義

退院指導の不成功、治療の不成功などによる予定外の再入院を防ぐ。退院基準の不達成アウトカムと退院に向けての療養指導の不成功の測定(初回入院時の治療が不十分であったこと、回復が不完全な状態で早期退院を強いたことによるなど)。

指標の定義・算出方法
年度 7日以内の予定外・緊急再入院患者数 退院患者数 割合
2019年度 145 14025 1.0
2020年 116 12186 0.9
2021年 114 12273 0.9

分子:当月の退院患者のうち、前回退院から7日以内に計画外で再入院した患者
分母:退院患者数

分析・考察

2019年から2021年まで全体的に大きな差はみられませんでした。新型コロナの影響で2020年より新入院数が減少しているため、数値的に率は下がっています。転院、退院後に新型コロナ陽性者として再入院となる数が多かったと思われます。今後の検討が更に必要となります。

【26】再入院(30日)

指標の意義

前回入院時の治療が不十分であったこと、回復が不完全な状態で早期退院を強いた事によるなどの予定外の再入院を防ぐ。

指標の定義・算出方法
年度 再入院(30日)患者数 退院患者数 割合
2019年度 61 14025 0.4
2020年 46 12186 0.3
2021年 63 12273 0.5

分子:分母のうち前回の退院日が30日以内の救急医療入院患者数
分母:退院患者数

分析・考察

2019年は0.43%、2021年は0.51%と全体的には大きな差はなかった。新型コロナの影響で新入院数が減少し、2021年は転院や退院後に新型コロナ陽性者として再入院となる患者数が多かったと思われる。

【28】緊急再手術割合

指標の意義

外科系チームの医療の質の評価

指標の定義・算出方法
年度 手術後48時間以内緊急再手術数 1入院期間中の手術後30日以内緊急再手術数
2019年度 0.3 0.9
2020年 0.4 1.4
2021年 0.3 1.1

分子:A:手術後48時間以内緊急再手術数
   B:1入院期間中の手術後30日以内緊急再手術数(手術後48時間以内含む)
分母:入院手術数(入院手術を行った退院患者数)

分析・考察

難易度の高い手術において再手術割合が高くなっていた。
診療科別に分析していく必要がある。

【29】待機手術で術当日、翌日に6単位以上の輸血(RCC)を必要とした患者および自己血に加えて保存血、輸血をした患者の割合

指標の意義

安全な手術の実施。輸血はヒトの血液を原料とするもので未知の病原体による感染をはじめ種々のリスクを伴うため、必要最低限にとどめる必要がある。

指標の定義・算出方法
年度 割合
2019年度 3
2020年 0.5
2021年 0.4

分子: 分母のうち、大量に輸血の実施がされた症例
分母: 4大癌、悪性腫瘍に対する手術症例

【30】予防的抗菌薬

指標の意義

A:手術部位感染(SSI)を予防する対策の一つとして、手術前後の抗菌薬投与があり、手術執刀開始の1時間以内に適切な抗菌薬を静注射することでSSIを予防し、入院期間などの延長を押さえることができる。
 B・C:手術部位感染(SSI)を予防する対策の一つとして、手術前後の抗菌薬投与があるが、不必要に長期間投与することで、抗菌薬による副作用の出現や耐性菌の発生、医療費の増大につながる。

指標の定義・算出方法
年度 予防的抗菌薬投与率
2019年度 100
2020年 100
2021年 100

分子:手術開始前1時間以内に予防的抗菌薬が点滴投与開始された手術件数
分母:入院手術件数(冠動脈バイパス手術・その他の心臓手術・股関節人工骨頭置換術・膝関節置換術・血管手術・大腸手術・子宮全摘除術)

分析・考察

予防的抗菌薬が全症例に実施されているため、引き続き継続し手術部位感染の予防を図る。

【32】急性脳梗塞発症から3日以内のリハビリテーション開始割合

指標の意義

廃用症候群を予防し、早期のADL向上と社会復帰を図るために、十分なリスク管理のもとにできるだけ発症後早期から積極的なリハビリテーションを行うことが強く勧められる。
脳卒中の診断後、できるだけ早期にリハビリを開始することが、機能の早期回復と低下抑制につながる。

指標の定義・算出方法
年度 割合
2019年度 37.5
2020年 39.7
2021年 51.1

分子:分母のうち、入院後早期(3日以内)に脳血管疾患等リハビリテーションを受けた症例
分母:脳卒中患者

分析・考察

当院は発症早期からのリハビリ施行率が比較的高いものと思われる。なお、早期リハビリ介入の適応外の患者もいるものと思われ、通常の値より低く算出されている可能性がある。より早期の社会復帰、ADL向上を獲得するために、医師のもと十分なリスク管理を行い、発症早期から積極的なリハビリを開始していきたい。

【49】救急車受け入れ割合

指標の意義

救急車受け入れ割合は、救急隊からの搬送の要請に対して、どれだけの救急車の受け入れが出来たかを示す指標で、各病院の救急診療を評価する指標となります。地域医療への貢献を示す指標にもなります。

指標の定義・算出方法
年度 救急車要請数 救急車受け入れ数 割合
2019年度 6690 4814 72.0
2020年 6397 4517 70.6
2021年 9613 4959 51.6

分子:A)救急車受け入れ数 B)救急車要請数 C)救急車受け入れ割合 D)分母のうち入院割合
分母:A) B)なし C)救急車要請数 D)救急車受け入れ数

分析・考察

全救急車の受け入れ割合は70%を維持してきたが、2021年度は新型COVID感染症の病床確保により一般患者の入院可能な病床数が減少したことで2次救急要請の受け入れが減少したためと考えられる。3次救急要請は例年95%以上の応需率を維持しており、コロナ渦においても病床が許す限り積極的に受け入れを行ってきた。

【50】全分娩中ハイリスク妊娠またはハイリスク分娩管理対象者の割合

指標の意義

周産期医療における急性期病院の役割、機能。二次・三次医療機関としての役割を見る。

指標の定義・算出方法
年度 分娩件数 ハイリスク妊娠 ハイリスク分娩
2019年度 201 41(20.4%) 26(12.9%)
2020年 143 47(32.9%) 20(14.0%)
2021年 143 32(22.4%) 23(16.1%)

分子:分母のうち、ハイリスク妊娠・分娩管理加算を算定された症例
分母:妊娠あるいは分娩に関連する疾病の治療・分娩のために入院した患者

分析・考察

ハイリスク妊娠の割合は2020年度に増加しており、コロナ禍のため産婦人科医院からの紹介が増えたと思われるが、2021年度は通常に戻りつつある。ハイリスク分娩の割合は年々増加している。急性期病院、三次医療機関として、他院で分娩時や分娩後に集中治療が必要であると判断された産褥婦が救急搬送されることがあるが、このような患者は対象外となっている。

【51】時間外・深夜の小児患者数

指標の意義

小児の時間外・深夜救急の受け入れ態勢の数値化

指標の定義・算出方法
年度 退院数 時間外・深夜入院数 割合
2019年度 757 228 30.1
2020年 315 97 30.7
2021年 495 151 30.5

分子:分母のうち、時間外または深夜に緊急入院した症例(分子の数値も指標)
分母:15歳以下の退院症例、院内出生症例を除く

分析・考察

小児の退院患者数は、2019年度に比べ2020年度は半減以下と減少し、2021年度は少し増加したが、コロナ禍の影響を受けていると思われる。しかし、時間外比率はほとんど変化なく、時間外に受診するという行動は変化がない。コロナ禍においても受け入れ態勢を変更していないことによる結果と思われる。

【54】紹介・逆紹介患者率 A)紹介患者率 B)逆紹介患者率

指標の意義

他の医療機関との連携、機能分化を促すための指標

指標の定義・算出方法
年度 紹介患者率 逆紹介患者率
2019年度 73.4 77.4
2020年 77.3 91.4
2021年 77.6 86.5

分子:A)開設者と直接関係のない他の病院又は診療所から紹介状により紹介された1ヵ月間の患者数
   B)開設者と直接関係のない他の病院又は診療所への1ヵ月間の紹介患者数
分母:1ヵ月間の初診患者数(①救急自動車により搬送された患者+②休日または夜間に受診した患者(休日、時間外加算患者数)+③健康診断を目的に受診し、治療を開始した患者)

分析・考察

2019年度、紹介率、逆紹介率ともに70%を目標として取り組んできたが、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い2020年3月以降、感染症指定医療機関として専用病床の確保に当たったため、やむを得ない外来診療の抑制や患者の受診控えによる影響から、初診患者数が減少したと考える。

疾患別指標

臨床指標(Clinical Indicator)とは、医療の質を定量的に評価する指標のことで、当センターでは患者さんが診療を受ける際の一つの目安として、「DPC」の算定内容に基づき、厚生労働省が指定する以下の7つの項目について、1年間の診療実績を開示いたします。

【集計対象】

令和3年度に健康保険証を使用して入院された患者さんの診療データ

【DPCとは】

疾患をWHO(世界保健機関)が定めた国際疾病分類に基づき「重症度」「年齢」「手術・処置の有無」「副傷病名」等で細分化した「診断群分類」を指します。主治医はこの分類から入院患者毎に「人的・物的医療資源」を最も投入した診断群分類を選択し、入院治療費の請求を行います。また、厚生労働省もこれら診断群分類からなる「退院患者調査」のデータを診療報酬改定の検討材料としています。

医療法における病院等の広告規制について(厚生労働省)

【集計項目】

1)年齢階級別退院患者数

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年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 475 205 292 407 760 1347 1984 3607 2301 342
4.05% 1.75% 2.49% 3.47% 6.48% 11.49% 16.93% 30.78% 19.63% 2.92%

年齢階級別退院患者数

【病院からのコメント】

2021年4月1日~2022年3月31日までに退院した患者数を集計しています。当院の所在地である八王子市の人口は、令和3年12月31日現在で総数561,758名であり、人口のピーク期を592,615名と推計(前回統計)していました。新型コロナウイルス感染症の影響もあると思いますが、自然動態(出生・死亡の増減)は年を追うごとに死亡の数が出生の数を上回り、人口数は減少傾向にあります。また、高齢化も進んでおり、生産年齢人口が減少しています。
当院における年齢階級別患者数をみても、60歳以上が全体の70%を占めており、前回統計よりも+1%となっています。感染症指定医療機関として新型コロナウイルス感染症患者の受け入れの影響もあり、高度急性期を担う病院機能が十分に発揮できていない状況ですが、地域医療支援病院として切れ目のない医療の提供ができるよう、地域の医療機関と連携して転院などがスムーズに移行できるよう医療連携及び入退院支援を積極的に行っています。

2)診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)

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■血液内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均在院
日数
(自院)
平均在院
日数
(全国)
転院率 平均年齢
130030xx99x4xx 非ホジキンリンパ腫 手術なし 手術・処置等24あり 23 9.26 10.66 0 64.57
130030xx99x5xx 非ホジキンリンパ腫 手術なし 手術・処置等25あり 13 19.69 19.92 0 73.54
130030xx99x8xx 非ホジキンリンパ腫 手術なし 手術・処置等28あり
130030xx99x9xx 非ホジキンリンパ腫 手術なし 手術・処置等29あり
130030xx97x50x 非ホジキンリンパ腫 手術あり 手術・処置等25あり 定義副傷病なし

【診療科からのコメント】

当科の特徴として、悪性リンパ腫に対するがん化学療法が主です。悪性リンパ腫の内訳としては、非ホジキンリンパ腫のびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫と濾胞性リンパ腫の患者さんが大部分を占めます。初発のびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫の方にはR-CHOP療法を、濾胞性リンパ腫の方にはGB療法もしくはRB療法で治療を行っています。再発のびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫にはサルベージ療法としてR-GDP療法もしくはR-GCD療法を選択するようになっています。最近では、Pola+BR療法も導入しています。

■循環器内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均在院
日数
(自院)
平均在院
日数
(全国)
転院率 平均年齢
050050xx0200xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等 手術・処置等1なし、1/2あり 手術・処置等2なし 167 5.08 4.36 0 71.25
050050xx9910xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等11あり 手術・処置等2なし 121 3.31 3.06 0.83 71.21
050070xx01x10x 頻脈性不整脈 経皮的カテーテル心筋焼灼術 手術・処置等21あり 定義副傷病なし 104 6.32 6.84 0 66.93
050030xx97000x 急性心筋梗塞(続発性合併症を含む。)、再発性心筋梗塞 その他の手術あり 手術・処置等1なし、1あり 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 86 10.73 11.87 1.16 70.8
050130xx9900xx 心不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 81 12.01 17.35 8.64 78.56

【診療科からのコメント】

虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)とは、心臓の筋肉に血液・酸素を送る血管(冠動脈)に、コレステロールがたまることなどにより狭くなり、心筋の酸素不足を来す状態です。胸の痛み・締め付ける感じ・苦しさなどを感じます。症状が15分以上続く場合は、心臓の筋肉の壊死(心筋梗塞)を起こし始めている可能性があるため、緊急の治療が必要です。また、安定した狭心症の状態においても、その病状に合わせた治療(内服、カテーテル治療、バイパス手術)の選択が必要です。当科では、運動負荷試験、負荷心筋シンチグラム、冠動脈CT、血管内超音波、冠血流予備量比(FFR)などを用いることにより、それぞれの患者さんに最適な治療方法を提供できるよう心掛けています。病的な原因により脈が遅くなる(徐脈)あるいは脈が速くなる(頻脈)病気を不整脈と言います。ふらつき、動悸などを来します。当科では心房細動などの頻脈性不整脈に対し、カテーテルアブレーション治療を行うことにより治療効果をあげています。

■糖尿病・内分泌・代謝内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均在院
日数
(自院)
平均在院
日数
(全国)
転院率 平均年齢
10007xxxxxx1xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) 手術・処置等21あり 86 13.85 14.41 2.33 66.92
100180xx990x0x 副腎皮質機能亢進症、非機能性副腎皮質腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 定義副傷病なし 31 8.19 6.66 0 55.58
10007xxxxxx0xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) 手術・処置等2なし 25 10.24 11.15 0 63.28
100040xxxxx00x 糖尿病性ケトアシドーシス、非ケトン昏睡 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 18 15.39 13.25 5.56 57.06
100140xx99x2xx 甲状腺機能亢進症 手術なし 手術・処置等22あり 8.57

【診療科からのコメント】

当科は、糖尿病を中心に肥満、脂質異常症などの代謝疾患と甲状腺、下垂体、副腎疾患などの内分泌疾患を専門とし、午前・午後各2診体制で外来診療を行っております。南多摩地区では数少ない糖尿病や代謝・内分泌疾患の内分泌検査と画像検査が行え、関係各科と連携して手術を含めた治療が行える診療科であります。八王子地区での医療に貢献するためにも多くの受け入れを目指し、新患外来を充実させており、月・木・金・土は新患予約外来を行っています。最も多い糖尿病は、薬物療法のみならず食事療法や運動療法がさらに重要で、糖尿病患者の教育や指導、支援のため、看護師・管理栄養士・薬剤師・臨床検査技師・理学療法士と当科医師が糖尿病の療養指導チームをつくり、「教育入院システム」を病棟で展開しています。10日~14日の入院期間中に、インスリン分泌能とインスリン抵抗性レベルの把握、腎症・神経障害、虚血性心疾患を中心にした合併症の検索、そして食事療法と運動療法の実践を通して糖尿病治療の知識や技術の習得を目指しています。内分泌疾患は、甲状腺疾患が最も多くご紹介いただいていますが、外来での診療が中心となります。糖尿病や甲状腺疾患も高血糖緊急症や甲状腺クリーゼの急性疾患も受け入れ、集学的な治療を行っています。内分泌疾患では、二次性高血圧で最も頻度が高い原発性アルドステロン症や偶発副腎腫瘍の精査と治療が中心ですが、下垂体や副甲状腺疾患も診断・治療が可能です。ご紹介いただいた際、外来でスクリーニング検査を行い、必要であれば、各種負荷試験のための入院を行っており診断や治療を行っています。

■消化器内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 96 10.07 9.21 3.13 75.44
060100xx01xxxx 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。) 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 79 3.54 2.65 0 69.48
060020xx04xxxx 胃の悪性腫瘍 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 51 7.59 7.96 0 73.96
060035xx03xxxx 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術 49 7.39 6.78 2.04 69.98
06007xxx97x00x 膵臓、脾臓の腫瘍 その他の手術あり 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 37 14.81 11.68 10.81 72.84

【診療科からのコメント】

当科は、消化管、肝臓、膵臓・胆道疾患に対する専門的な知識・技術と専門医を有する医師を中心として診療にあたっています。当科の集計結果上位の疾患が、<胆管結石・胆管炎、小腸大腸の良性疾患、胃の悪性腫瘍、結腸の悪性知腫瘍、膵臓の腫瘍>であることは、それを反映していると考えます。消化管疾患に関しては、内視鏡的大腸ポリープ切除術、早期胃癌や大腸癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を行っています。肝疾患に関しては、ウイルス肝炎や肝癌をはじめとしたさまざまな肝疾患に対する診療を行っています。膵臓・胆道疾患に対しては、高度な技術を要する内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)や超音波内視鏡(EUS)を用いた検査・処置を行っています。

■腎臓内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
110280xx9900xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 57 9.33 10.39 1.75 57.51
110280xx9901xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等21あり 51 20.71 13.74 5.88 73.22
110290xx99x0xx 急性腎不全 手術なし 手術・処置等2なし 16 12.25 14.23 18.75 73.13
110260xx99x0xx ネフローゼ症候群 手術なし 手術・処置等2なし 15 18.4 20.43 0 59
180040xx99x0xx 手術・処置等の合併症 手術なし 手術・処置等2なし 14 12.93 8.68 0 56.07

【診療科からのコメント】

日本の慢性腎臓病(CKD)患者数は人口の高齢化に伴って増加し、現在約1,330万人すなわち成人の約8人に1人がCKD患者と推測されています。CKDは末期腎不全の予備軍であるため、CKDの増加に伴って末期腎不全患者数は年々増加しています。当科のDPC病名として最も多いのが慢性腎不全であることもこのデータに一致するところです。また、ネフローゼ症候群もCKDの原因疾患ですが、中でも腎臓内科としての専門性の高い治療を必要とする疾患であり、当科では、このような患者さんには腎生検を含めた精査入院を進め、ステロイド・免疫抑制薬などを含めた専門性の高い治療を実施しています。また、末期腎不全の患者さんに対しては、3種類の腎代替療法(血液透析、腹膜透析、腎移植)を良く説明し全ての治療法に対応すべく腎臓外科との緊密な連携・協力体制を確立しています。また透析を導入した腎不全患者のかかりつけ医として、透析アクセス不全や急変時の管理などに積極的に関与し、患者さんの利便性を高めるようにしています。

■脳神経内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
010060×2990400 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等24あり 定義副傷病なし 重症度等発症前Rankin Scale 3、4又は5 14 19.21 19.21 35.71 71.57
010060×2990200 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等22あり 定義副傷病なし重症度等発症前Rankin Scale 3、4又は5 12 24.5 19.01 50.00 75.17
010060×2990201 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等22あり 定義副傷病なし 重症度等発症前Rankin Scale 0、1又は2 12 15 15.57 16.67 75.92
010110xxxxx4xx 免疫介在性・炎症性ニューロパチー 手術・処置等24あり 12 19.5 16.11 8.33 62.83
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 11 24.82 18.9 63.64 66.09

【診療科からのコメント】

地域の総合病院、大学病院の分院という位置づけがあり、幅広い疾患を扱っております。これまでの当科での脳卒中診療は軽症から中等症が多かったものの、救命救急センターとの連携もあり重症例をみることも多い傾向にありました。コロナ禍にあり、院内での連携がうまくいっているものと捉えています。免疫介在性・炎症性ニューロパチーの入院件数も多く、引き続き幅広い診療を目指しています。

■高齢診療科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
130030xx99x5xx 非ホジキンリンパ腫 手術なし 手術・処置等25あり 55 21.89 19.92 1.82 82.24
130030xx99x9xx 非ホジキンリンパ腫 手術なし 手術・処置等29あり 19 16.53 12.99 0 77.84
130030xx99x6xx 非ホジキンリンパ腫 手術なし 手術・処置等26あり 16 21.94 13.91 0 79.38
130060xx97x40x 骨髄異形成症候群 手術あり 手術・処置等24あり 定義副傷病なし 15 21.87 18.76 0 85.73
130060xx99x4xx 骨髄異形成症候群 手術なし 手術・処置等24あり

【診療科からのコメント】

当科は高齢者総合診療を基本とし、特に近年増加傾向の高い血液疾患について主に入院治療を行っています。症例は骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫のがん化学療法が主です。具体的には、骨髄異形成症候群の患者さんには、アザシチジン療法や進展した患者さんには急性白血病に準じた治療を行います。悪性リンパ腫は、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫と濾胞性リンパ腫の患者さんが大部分を占めます。初発のびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫の患者さんにはR-THP-COP療法を、濾胞性リンパ腫の患者さんにはGB療法で治療を行っています。再発のびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫にはサルベージ療法としてR-ESHAP療法を行っていましたが、最近はPola+BR療法を実施しています。ホジキンリンパ腫に対しては、A-AVD療法を実施しています。多発性骨髄に対しては、その患者さんの状態に応じてDRd療法、D-MPB療法、Rd療法を選択、再発難治性の患者さんにはVPD療法などを選択しています。高齢者の急性骨髄性白血病に対しては、減量AML-97療法やCAG療法などで治療、最近はベネトクラクス/アザシチジン併用療法を実施しています。

■呼吸器外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
040040xx97x00x 肺の悪性腫瘍 手術あり 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 91 10.67 10.47 0 69.43
040200xx01x00x 気胸 肺切除術等 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 43 15.56 9.86 0 34.93
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等24あり 定義副傷病なし 37 8.73 9.07 0 66.57
040040xx9910xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1あり 手術・処置等2なし 36 2.25 3.3 0 77.22
040040xx9900xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 34 12.21 13.12 11.76 74.56

【診療科からのコメント】

当科は、肺癌を中心とした胸部悪性疾患の診断から治療までを行っています。肺癌の患者さんは年々増加傾向にあります。「肺癌診療のガイドライン」を遵守した診療を行っていますが、手術適応の無い肺癌患者さんの比率が高く、年齢・組織型・進行度・全身状態・生活環境などを考慮し、コ・メディカルとともに早期より緩和医療を導入すると共に、個々の患者さん毎に適切な治療を提供するようにしています。肺癌の患者さんは、診断時よりEGFR遺伝子変異・EML4-ALK融合遺伝子変異・PD-L1抗体・ROS-1融合遺伝子などの遺伝子検査を行い、手術が可能であれば手術を行い、手術不能な場合は標準的な化学療法、放射線治療、免疫チェックポイント阻害剤などの治療を行っています。他科の医師やコ・メディカルとのチーム医療を推進し、安全かつ副作用を最小限にするような治療を心がけています。近隣に肺癌化学療法の可能な施設がほとんど皆無であるため、紹介されてくる患者さんは多いですが、逆に当科から紹介して治療をお願いすることがほとんど不可能な現状です。

■心臓血管外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
050163xx03x1xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 ステントグラフト内挿術 手術・処置等21あり 28 11.11 15.18 0 80.18
050170xx03000x 閉塞性動脈疾患 動脈塞栓除去術 その他のもの(観血的なもの)等 手術・処置等1なし、1あり 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 25 6.08 5.32 0 75.84
050170xx03001x 閉塞性動脈疾患 動脈塞栓除去術 その他のもの(観血的なもの)等 手術・処置等1なし、1あり 手術・処置等2なし 定義副傷病あり 22 9.23 9.61 0 74.68
050050xx0101xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 心室瘤切除術(梗塞切除を含む。) 単独のもの等 手術・処置等1なし 手術・処置等21あり 14 28.93 21.69 7.14 66.21
050180xx02xxxx 静脈・リンパ管疾患 下肢静脈瘤手術等 14 2.86 2.75 0 68.21

【診療科からのコメント】

当科で扱う疾患は、手術治療を要する心臓疾患および血管疾患で、そのすべての領域に対して治療を行える体制をとっています。定期的なカンファレンスを行い、循環器内科との緊密な連携を図ることで、患者さんに最適な治療方針を選択し、良好な成績を達成するべく務めています。扱う疾患の数としては、近年の人口の高齢化に伴い動脈硬化性疾患が増加しており、末梢血管疾患、大血管疾患、心臓疾患の順になっています。加えて、高齢化により合併症を伴う重症患者が増加しており、手術自体の難易度に加え、術後管理も難渋することが多くなっていると思われます。すべての疾患に対しては、心臓血管外科専門医の資格を有する複数の外科医が治療にあたっています。一昨年からの新型コロナウイルス感染症の蔓延はありますが、すべての領域で患者数はそれほど減少しておりませんでした。

■消化器外科・移植外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア(15歳以上) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 79 5.14 4.74 0 72.95
060035xx010x0x 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 結腸切除術 全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術等 手術・処置等1なし 定義副傷病なし 68 12.72 15.76 1.47 71.74
060010xx99x40x 食道の悪性腫瘍(頸部を含む。) 手術なし 手術・処置等24あり 定義副傷病なし 40 10.45 9.09 0 71.5
060020xx02xxxx 胃の悪性腫瘍 胃切除術 悪性腫瘍手術等 33 19.67 18.34 0 68.94
060335xx02000x 胆嚢炎等 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 28 6.71 7.11 0 68.86

【診療科からのコメント】

当科では、食道から直腸までの消化管、肝臓・胆道・膵臓の癌だけでなく、鼠径ヘルニアや胆石症などの良性疾患も数多く手がけています。がんの治療に関しては、手術治療以外の、放射線治療、化学療法も当科主導で行なっており、 地域のがん診療連携拠点病院である東京医科大学八王子医療センターのがん治療の中核となっている診療科です。特に昨今は、結腸癌・直腸癌の患者さんが急増しており、それらの患者さんの腹腔鏡下手術・抗癌剤治療を含めた集学的治療を実施しています。また、食道癌、胃癌の手術・抗癌剤治療も多数診療しており、鏡視下手術を積極的に導入しています。統計には現れていませんが、肝胆膵領域の癌に対する根治手術をさまざまな工夫のもと行なっています。重要な血管などに浸潤した癌にたいしては血管合併切除・再建を積極的に施行したり、切除不能と思われた症例にも抗がん剤治療を行い、切除可能な状態に奏功した症例に対してコンバージョン手術を行なっています。

■腎臓外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
110280xx02x00x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 動脈形成術、吻合術 その他の動脈等 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 105 5.57 2.86 67.87
110280xx9900xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 22 10.95 13.64 60.95
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 なし 18 9.83 0 56.44
110280xx01x0xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術 手術・処置等2なし
110280xx02x1xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 動脈形成術、吻合術 その他の動脈等 手術・処置等21あり

【診療科からのコメント】

当科では、慢性腎不全等の腎障害がある方に対する外科手術を行っています。具体的にはバスキュラ-アクセスとそのトラブル症例、腹膜透析カテーテル、2次性副甲状腺機能亢進症、生体および献腎移植、膵腎移植等の手術を施行しています。また移植後の入院では尿路感染をはじめとした感染症が多く、拒絶反応を始めとする移植腎機能障害や診断のため移植腎生検を数多く行っています。

■脳神経外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
010230xx99x00x てんかん 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 20 6.65 7.22 0 50.75
010060×2990400 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満)手術 なし 手術・処置等1なし 手術・処置等24あり 定義副傷病なし 重症度等発症前Rankin Scale 3、4又は5 19 17.74 19.21 36.84 76.26
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 その他の手術あり 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 17 15.94 9.78 23.53 71.65
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 15 14.73 8.3 46.67 62.6
010040x199x0xx 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10以上) 手術なし 手術・処置等2なし 14 23.14 22.42 71.43 76

【診療科からのコメント】

当科は、脳卒中(くも膜下出血、脳出血、脳梗塞)、脳腫瘍(良性腫瘍、グリオーマ、転移性脳腫瘍、頭蓋底腫瘍)、てんかんの診断と薬物治療・外科的治療、脊椎・脊髄疾患(脊髄腫瘍、脊髄血管障害、変性疾患)、水頭症、頭部外傷の治療などを中心に診療を行っています。脳血管内治療として、脳塞栓に対する血栓回収療法、脳動脈瘤に対するコイル塞栓術などを行っており、脳腫瘍に対しては放射線と化学療法を組み合わせた治療を行っています。また、てんかんについては、てんかん協議会認定のてんかんセンターとして活動しています。

■整形外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
07040xxx01xxxx 股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 86 19.26 20.63 1.16 69.4
070230xx01xxxx 膝関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 48 20.33 23.02 0 74.83
160800xx01xxxx 股関節・大腿近位の骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等 30 25.6 25.32 50.00 74.73
070343xx97x0xx 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 腰部骨盤、不安定椎 その他の手術あり 手術・処置等2なし 26 15.85 15.77 7.69 72.73
070341xx020xxx 脊柱管狭窄(脊椎症を含む。) 頸部 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む。) 前方椎体固定等 手術・処置等1なし 14 20.14 19.76 7.14 71.21

【診療科からのコメント】

当科は、脊椎、上肢 股関節、膝関節、足関節、足の外科など幅広い専門性を有し、変性疾患、外傷、スポーツ障害など地域内外からの紹介も多数いただいています。交通外傷、労災外傷や近年増加する高齢者の外傷や、変性疾患の受け入れを、地域の基幹病院として常日頃努力しております。また、個々の症例に応じて、病診・病病連携を通じて術後リハビリの役割分担を図りながら、ADL(日常生活動作)の獲得、QOL(生活の質)の向上を目指しています。ここ1~2年は新型コロナウイルス感染症の影響で手術件数は減っていますが、地域の医療に貢献しています。

■形成外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
080010xxxx0xxx 膿皮症 手術・処置等1なし 10 15.1 13.07 0 58.5
160200xx0200xx 顔面損傷(口腔、咽頭損傷を含む。) 鼻骨骨折整復固定術等 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし
070010xx970xxx 骨軟部の良性腫瘍(脊椎脊髄を除く。) その他の手術あり 手術・処置等1なし
080007xx010xxx 皮膚の良性新生物 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)等 手術・処置等1なし
020230xx97x0xx 眼瞼下垂 あり 手術・処置等2なし

【診療科からのコメント】

膿皮症に対する皮弁手術が多くなっています。軟部腫瘍では、主に脂肪腫などの良性腫瘍の摘出術を多く行っています。顔面骨骨折は、3次元プレートを用いた精密手術を行い、鼻骨骨折は、外来にて徒手整復を行っています。眼瞼下垂は老人性の腱膜性眼瞼下垂が多く、挙筋腱膜前転術による治療が主となっています。乳房再建は乳腺科と共同で、一次二期による再建を行っています。

■小児科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
040090xxxxxx0x 急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症(その他) 定義副傷病なし 57 4.21 5.83 0 1.3
080270xxxx1xxx 食物アレルギー 手術・処置等1あり 55 1.04 2.13 0 3.18
040100xxxxx00x 喘息 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 49 4.29 6.24 4.08 2.39
080270xxxx0xxx 食物アレルギー 手術・処置等1なし 41 1.29 2.35 0 4.76
010230xx99x00x てんかん 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 36 3.72 7.22 2.78 6.58

【診療科からのコメント】

当科は、小児の内科的な疾患の診療を総合的に行っています。近隣医療機関と連携しながら一般的なかぜ症状やインフルエンザなどの感染症だけでなく、アレルギー、神経、発達障害、免疫・膠原病、循環器、腎疾患、内分泌疾患の専門外来で専門性を要する疾患に対応しています。外来診療では心理士による発達・知能検査や心理カウンセリング、リハビリテーション科と連携した言語訓練なども行っています。入院診療では、気管支炎・肺炎などの呼吸器感染症や胃腸炎などの消化器感染症、食物アレルギーの食物負荷試験や気管支喘息の入院加療、てんかんの長時間ビデオ脳波検査、内分泌負荷試験などを行っています。八王子市の小児救急医療の輪番制度に従い、偶数日には24時間体制の救急外来を行っています。

■産科・婦人科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
120260xx01xxxx 分娩の異常 子宮破裂手術等 52 9.46 9.38 1.92 33.56
12002xxx99x40x 子宮頸・体部の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等24あり 定義副傷病なし 34 3.65 4.34 0 61.26
120010xx99x50x 卵巣・子宮附属器の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等25あり 定義副傷病なし 34 4.26 4.23 0 64.79
120070xx02xxxx 卵巣の良性腫瘍 卵巣部分切除術(腟式を含む。) 腹腔鏡によるもの等 26 5.96 6.11 0 38.27
120060xx01xxxx 子宮の良性腫瘍 子宮全摘術等 25 10.28 9.46 0 49.16

【診療科からのコメント】

産科は、合併症妊娠(High risk Pregnancy)の管理、治療を主体とし妊婦と胎児の健康管理を総合的に行う周産期医学を目指しています。婦人科は、手術の必要な卵巣嚢腫や子宮筋腫などの良性腫瘍や、子宮頸癌・子宮体癌・卵巣癌など悪性腫瘍の治療(手術・化学療法)を行っています。婦人科悪性腫瘍は手術後に術後治療として、また、再発例における治療として化学療法を行うケースが多くあります。一方、良性腫瘍は術後のQOLを考慮し積極的に内視鏡治療を行っています。

■眼科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
020110xx97xxx0 白内障、水晶体の疾患 手術あり 片眼 422 3.02 2.71 0 76.11
020160xx97xxx0 網膜剥離 手術あり 片眼 123 7.5 8.48 0 56.95
020240xx97xxx0 硝子体疾患 手術あり 片眼 81 4 5.36 0 72.49
020200xx9710xx 黄斑、後極変性 手術あり 手術・処置等1あり 手術・処置等2なし 74 5.64 6.14 0 70.07
020180xx97x0x0 糖尿病性増殖性網膜症 手術あり 手術・処置等2なし片眼 71 6.15 6.59 0 60.89

【診療科からのコメント】

当科は、主に網膜硝子体疾患を対象にしているため、硝子体手術を数多く行っています。特に糖尿病網膜症については、増殖硝子体網膜症を合併する重症例が多く、また、全身状態も不良な方を対象にすることが多いため、平均在院日数が長くなっています。黄斑円孔や黄斑前線維症といった比較的軽症例については、術後早期に退院が可能になっています。網膜剥離については、若年者を除き、そのほとんどを硝子体手術で復位させておりますが、術後のうつむき姿勢は手術当日の夜のみにしており、従来に比較して患者さんの負担は軽いものとなっています。また、40才以下の硝子体手術については、原則水晶体に対する手術は行いませんので、眼内レンズのような術後の見え方の違いは少なく済むようにしています。
新型コロナウイルス感染症の影響もあり、硝子体手術での在院日数は短くなっています。

■耳鼻咽喉科・頭頸部外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
030428xxxxxxxx 突発性難聴 52 6.38 8.75 0 57.79
030350xxxxxxxx 慢性副鼻腔炎 40 6.83 6.47 0 58.75
030150xx97xxxx 耳・鼻・口腔・咽頭・大唾液腺の腫瘍 手術あり 34 8.59 7.03 0 58.15
030400xx99xxxx 前庭機能障害 手術なし 32 4.22 4.92 0 66.22
100020xx010xxx 甲状腺の悪性腫瘍 甲状腺悪性腫瘍手術 切除(頸部外側区域郭清を伴わないもの)等 手術・処置等1なし 30 9.57 8.19 0 61.67

【診療科からのコメント】

当科では、慢性副鼻腔炎に対する内視鏡手術を多く行っており、入院期間は1週間です。緊急疾患として、突発性難聴、めまいに対しては、入院加療を行っています。突発性難聴では、高気圧酸素治療を併用し入院期間は約1週間です。急性扁桃炎、急性咽喉頭炎、扁桃周囲膿の重症例も入院加療しており、約1週間入院し、抗菌薬の点滴加療を行っています。甲状腺手術も多く行っており、術後約1週間の入院が必要です。

■皮膚科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
080006xx01x0xx 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外) 皮膚悪性腫瘍切除術等 手術・処置等2なし 43 10.72 7.68 0 79
080010xxxx0xxx 膿皮症 手術・処置等1なし 29 10.55 13.07 6.90 69.41
080020xxxxxxxx 帯状疱疹 24 7.79 9.22 0 65.63
080007xx010xxx 皮膚の良性新生物 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)等 手術・処置等1なし 11 4.73 4.01 0 55.73
080005xx01x0xx 黒色腫 皮膚悪性腫瘍切除術等 手術・処置等2なし

【診療科からのコメント】

当科1位の対象疾患には、有棘細胞癌、基底細胞癌、乳房外パジェット病等が含まれます。悪性腫瘍は広範囲の切除を要するため、入院の上、周術期管理が必要であり、患者数が多くなっています。2位の膿皮症は、主として丹毒や蜂窩織炎ですが、最重症の壊死性筋膜炎やガス壊疽を疾患スペクトラムとしては含んでおり、中には見極めの難しい症例も少なくありません。そのような重症例を対象とした入院にはきめ細かい全身管理と抗菌薬の点滴投与を行っています。3位の帯状疱疹は、高齢者に多い疾患で、皮膚科では一般に多くの患者さんが受診されます。汎発性帯状疱疹などは、外来での治療が不十分な重症例が紹介されてくることが多く、そのような患者さんを対象に入院の上、連日抗ウイルス薬の点滴治療を行っています。4位の皮膚皮下腫瘍摘出術は良性腫瘍の手術ですが、比較的大きく出血が多く予想される症例を中心に入院して手術を行っております。5位の悪性黒色腫は、やはり広範囲の切除を要するため、入院の上、周術期管理が必要です。

■泌尿器科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
110080xx991xxx 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1あり 133 2.23 2.5 0 74.41
110070xx02xxxx 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術+術中血管等描出撮影加算 55 8.31 7.05 1.82 74.04
11012xxx020x0x 上部尿路疾患 経尿道的尿路結石除去術 手術・処置等1なし 定義副傷病なし 46 5.91 5.56 0 63.8
110070xx03x0xx 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等2なし 38 8.95 7.02 0 77.21
110200xx02xxxx 前立腺肥大症等 経尿道的前立腺手術等 19 7.16 8.23 0 73

【診療科からのコメント】

当科の最も多い患者数は前立腺癌の診断のために必要な前立腺生検の入院です。次いで、一般的に泌尿器悪性腫瘍手術で多い、経尿道的膀胱悪性腫瘍手術(TURBT)で、当科も例外ではありません。さらに、術前にアミノレブリン酸を内服し、通常の内視鏡では認識できない平坦な膀胱癌を特殊な光で発光させて切除するPDD-TURBTも積極的に行い、短期再発率の低下に貢献しています。その他では当科での特徴である、ホルミウムレーザーを用いた尿路結石症の治療や前立腺肥大症の手術療法が多いです。

■救命救急センター

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
161070xxxxx00x 薬物中毒(その他の中毒) 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 74 2.72 3.7 41.89 39.57
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2なし 34 11.38 20.57 64.71 77.44
010230xx99x00x てんかん 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 23 5.96 7.22 17.39 61.48
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 21 6.33 8.3 33.33 52.86
060140xx97x0xx 胃十二指腸潰瘍、胃憩室症、幽門狭窄(穿孔を伴わないもの) その他の手術あり 手術・処置等2なし 17 11 10.84 17.65 74.88

【診療科からのコメント】

急性薬物中毒の患者さんは診療内科疾患の背景が多く、近隣の精神神経科病院との連携が欠かせません。繰り返してしまう誤嚥性肺炎やてんかん、頭蓋内損傷の患者さんは、病状が回復しても廃用が進んでしまい自立した生活が困難な場合があるのでリハビリテーションは欠かせません。そのため、近隣の医療機関等との連携を密にとり、自立生活に向けた地域全体での支援を図っています。胃十二指腸潰瘍の患者さんは、抗血栓療法のため血液をサラサラにする薬を服用していたり、ストレスやアルコール摂取などが原因で生じることが多いです。内視鏡(胃カメラ)で診断し、場合によってはその場で処置をすることもあります。

■呼吸器内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
040110xxxxx0xx 間質性肺炎 手術・処置等2なし 40 17.55 18.42 7.50 72.68
040110xxxxx1xx 間質性肺炎 手術・処置等21あり 13 23.77 19.49 7.69 76.69
040120xx99000x 慢性閉塞性肺疾患 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし
040150xx99x0xx 肺・縦隔の感染、膿瘍形成 手術なし 手術・処置等2なし
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2なし

【診療科からのコメント】

間質性肺炎については、特発性肺線維症(IPF)に対する抗線維化薬nintedanibを使用して治療の質を高めています。難病申請も適応を考えて申請しています。抗線維化とともに咳嗽症状の改善などが認められています。膠原病肺を中心に副腎皮質ホルモンとタクロリムスなどの免疫抑制剤を組み合わせた治療を行い、予後の改善と生活の質の改善に成果を上げています。睡眠時無呼吸症候群は、診断確定に必須である入院でのポリソノグラム検査とCPAP titration検査を連日で実施し、それに基づいて適切な治療を導入しています。2021年度はコロナ禍の継続で、検査個室の確保ができず、また、病床確保が難しく十分に検査ができませんでした。肺炎、細菌性胸膜炎、その重症型である膿胸では、適宜ドレナージ治療を行いながら抗菌薬を適切に選択し、しっかりと細菌感染コントロールを図っています。口腔ケア、嚥下リハビリテーションを併用して良好な転帰を得ています。また、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の慢性気道疾患は、新規抗体製剤や配合吸入薬などの進歩により劇的に治療成果が改善しています。入院、増悪ともに減少し、質の高い外来診療を実施しています。感染による急性増悪入院がまれながらありますが、ネーザルハイフローを含む酸素療法、NPPVを含む人工呼吸管理を利用しながら適切に対処し、良好な転帰を得ています。肺癌の化学療法、放射線治療は、臨床腫瘍科などにお願いしていますが、緩和ケアについてはホスピスへの転院調整も含め、当科も担当しています。基本的に腫瘍以外の全ての呼吸器疾患を網羅しており、肺結核、粟粒結核、抗酸菌症、レジオネラ肺炎、肺真菌症、皮膚筋炎に伴うPF-ILDなどにも対応しています。

■乳腺科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
090010xx010xxx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む。))等 手術・処置等1なし 91 8.89 10.15 1.10 68.15
090010xx99x4xx 乳房の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等24あり 83 3.37 3.94 0 58.63
090010xx02xxxx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 72 5.83 5.88 1.39 62.97
090010xx99x8xx 乳房の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等28あり 18 5.44 4.21 0 63.17
090020xx97xxxx 乳房の良性腫瘍 手術あり 12 5.25 4.1 0 44.33

【診療科からのコメント】

当科は、地域性などから合併症を有した高齢かつ進行症例が多いため、全国平均に比べ乳房切除術や腋窩郭清症例が多い傾向にありますが数年前から温存手術も増加してきました。また、乳房の同時再建手術も年間20例近く行っています。入院期間の延長につながるような術後の合併症は少なく、在院日数は短くなっています。また、退院後も地域連携パスを用いて、近隣の施設との連携を図り、患者、家族の生活の質改善まで考慮した診察を日々行っています。
コロナ禍で、受診控えが懸念されるここ数年でしたが、当科では毎年手術症例数が増加しています。

■リウマチ性疾患治療センター

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
070560xx99x00x 重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 11 13.36 14.75 9.09 72.09
040110xxxxx0xx 間質性肺炎 手術・処置等2なし 18.42
070470xx99x0xx 関節リウマチ 手術なし 手術・処置等2なし 15.5
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし 13.14
070560xx99x01x 重篤な臓器病変を伴う全身性自己免疫疾患 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病あり 24.06

【診療科からのコメント】

関節リウマチを含むリウマチ性疾患の診断や治療は外来診療が中心ですが、通院患者さんの高齢化に伴い、短期間入院して治療を開始する患者さんや合併症のため入院治療する患者さんが増えています。入院の理由は感染症合併(肺炎,胆嚢炎,蜂窩織炎など)、糖尿病の悪化などで、自己免疫性疾患の悪化による入院は稀でした。臥床による筋力低下が起こらないよう、入院中もリハビリテーション部門の協力を得て、「なるべく歩く」、「体を動かす」工夫をしています。

■臨床腫瘍科

DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍 なし 手術・処置等1なし 手術・処置等24あり 定義副傷病なし 30 7.73 9.07 0 69
040040xx9905xx 肺の悪性腫瘍 なし 手術・処置等1なし 手術・処置等25あり 22 7.18 19.34 0 69.64
040040xx9900xx 肺の悪性腫瘍 なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 12 13.25 13.12 16.67 73.58
040040xx99041x 肺の悪性腫瘍 なし 手術・処置等1なし 手術・処置等24あり 定義副傷病あり
060060xx99030x 胆嚢、肝外胆管の悪性腫瘍 なし 手術・処置等1なし 手術・処置等23あり 定義副傷病なし

【診療科からのコメント】

当科 は、外来の化学療法センターの支援およびがんゲノム医療のためのがん遺伝子パネル検査を各診療科およびスタッフとの協力のもとに行っています。また、肺癌、悪性胸膜中皮腫といった呼吸器系悪性腫瘍を中心とした診療を行っています。また、免疫チェックポイント阻害剤開始前の評価を行っています。

3)初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数

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5大癌 StageⅠ StageⅡ StageⅢ StageⅣ 不明 再発
胃癌 58 8 28 67 20 30
大腸癌 47 57 73 40 32 94
乳癌 81 122 33 7 8 43
肺癌 64 58 166 183 28 164
肝癌 5 19 16 3 6 78

【診療科からのコメント】

5大癌とは、胃癌、大腸癌、乳癌、肺癌、肝癌のことです。初発は、集計期間中に入院治療を行った5大癌の患者さんについて、UICC(※1)によるTNM(※2)から示される病気分類別に患者数を集計しています。再発は、初回治療以降に再発、再燃、遠隔転移等をきたして継続治療を行った患者数を集計しています。
当院は、地域がん診療連携拠点病院として5大癌以外の他のがん腫にも手術、化学療法、放射線治療など、集学的な治療を行っています。また、緩和ケアチーム、がんリハビリテーションチーム、栄養サポートチームなど、多職種で構成されたチームによる患者さんのサポートも行っています。最近は、がんゲノム医療連携病院として、がんゲノムプロファイリング検査も実施しています。

(※1)UICC
Union for International Cancer Controlの頭文字を取ったもの。1993年にジュネーブで設立された、国際的広がりを持つ民間の対がん組織連合のこと。

(※2)TNM
TNMとは、がんの進行度を判定する基準として以下の3つの構成要素の評価に基づいた分類方法のこと。
T:原発腫瘍の広がりの評価
N:所属リンパ節への転移の有無と広がりの評価
M:遠隔転移の有無の評価

4)成人市中肺炎の重症度別患者数等

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重症度 患者数 平均在院日数 平均年齢
軽症 9 13.56 61.78
中等症 54 15.02 75.11
重症 21 14.62 75.33
超重症 21 10.81 80.19
不明 0 0 0

【診療科からのコメント】

肺炎の重症度を表す指標に、「A-DROPスコア」というものがあります。これは、以下の5項目のうち入院時の状態に該当する項目の合計数をスコアとして肺炎の重症度を表します。

1)Age:男性70歳以上、女性75歳以上

2)Dehydration:BUN 21mg/mL以上、または脱水あり

3)Respiration:SpO2 90%以下

4)Orientation:意識障害あり

5)Pressure:血圧(収縮期)90mmHg以下

肺炎の重症度は以下の通りです。

軽症:重症度が一つも該当しない場合。

中等症:重症度が1~2項目該当の場合。

重症:重症度が3項目該当の場合。

超重症:重症度が4~5項目該当の場合。

不明:重症度分類の各因子が1つでも不明な場合。

高齢者になるほど、肺炎による重症化のリスクは高くなります。予防や症状の軽いうちに対応することが重要となります。
政府の統計データから、主な死因の構成割合をみますと肺炎は第5位に挙げられています。数年前までは3位でしたが、近年では高齢化の影響と思われる老衰(3位)、脳血管疾患数(4位)が肺炎を上回っています。
(掲載場所 URL) https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai21/index.html

5)脳梗塞の患者数等

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発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 227 20.79 75.52 46.26
その他 4 14.25 67.00 50.00

【診療科からのコメント】

当院は急性期医療を担っていることもあり、脳梗塞の患者さんはそのほとんどが発症24時間以内に入院しています。その後、容態が落ち着いた患者さんには在宅復帰を目指すためのリハビリテーションを集中的に行える回復期等の医療機関に移っていただき、切れ目のない医療を提供しています。

6)診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)

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■循環器内科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他) 150 2.77 2.81 0 70.87
K5951 経皮的カテーテル心筋焼灼術(心房中隔穿刺、心外膜アプローチ) 110 2.33 2.91 0 66.38
K5461 経皮的冠動脈形成術(急性心筋梗塞) 75 0.16 13.73 5.33 68.15
K5492 経皮的冠動脈ステント留置術(不安定狭心症) 46 0.13 8.78 4.35 72.87
K597-2 ペースメーカー交換術 35 1.11 7.77 2.86 81.97

【診療科からのコメント】

虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)とは、心臓の筋肉に血液・酸素を送る血管(冠動脈)に、コレステロールがたまることなどにより狭くなり、心筋の酸素不足を来す状態です。胸の痛み・締め付ける感じ・苦しさなどを感じます。症状が15分以上続く場合は、心臓の筋肉の壊死(心筋梗塞)を起こし始めている可能性があるため、緊急の治療が必要です。また安定した狭心症の状態においても、その病状に合わせた治療(内服、カテーテル治療、バイパス手術)の選択が必要です。当科では、運動負荷試験、負荷心筋シンチグラム、冠動脈CT、血管内超音波、冠血流予備量比(FFR)などを用いることにより、それぞれの患者さんに最適な治療方法を提供できるよう心掛けています。病的な原因により脈が遅くなる(徐脈)あるいは脈が速くなる(頻脈)病気を不整脈と言います。ふらつき、動悸などを来します。当科では心房細動などの頻脈性不整脈に対し、カテーテルアブレーション治療を行うことにより治療効果をあげています。

■消化器内科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 88 2.05 12.23 10.23 75.73
K721-4 早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術 66 1.02 5.45 1.52 70.44
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 64 1.56 1.55 1.56 69.81
K6532 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍粘膜下層) 50 1.1 5.5 0 73.78
K6871 内視鏡的乳頭切開術(乳頭括約筋切開のみのもの) 36 1.42 7.47 11.11 73.5

【診療科からのコメント】

当科は、消化管(食道・胃・十二指腸・小腸・大腸)、肝臓、膵臓、胆道(胆嚢・胆管)疾患を対象に、患者さんのQOLを考慮した低侵襲治療(内視鏡治療・超音波内視鏡治療・経皮経肝的治療など)を行っています。消化管領域では、食道、胃、十二指腸、大腸のポリープや早期のがんに対して内視鏡的に病変を切除することが出来ます。治療法として、粘膜切除術(EMR)や内視鏡下粘膜下層剥離術(ESD)があります。粘膜切除術は、粘膜の下に薬液を注入し、病変を持ち上げ、スネアをかけて切り取る方法で、茎のない平坦な形のポリープに用いられます。内視鏡下粘膜下層剥離術は、病変の下に生理食塩水を注射し、病変の下の層である粘膜下層を浮かせます。その後、粘膜下層を電気メスで剥離を行い、安全に開腹をせずに内視鏡で早期の癌を切除することができます。これらは、病変の形や大きさに応じて使い分けられます。肝臓領域では、肝臓癌に対してラジオ波焼灼療法やカテーテル治療を行っています。ラジオ波焼灼療法は、腫瘍のなかに針を通し電流を流すことでがん細胞を死滅させる方法です。カテーテル治療は足の付け根からカテーテルという細い管を入れ、がん細胞に栄養をおくる肝動脈を遮断することでがん細胞に栄養源がいかないようにする治療です。また、肝臓疾患に併発することが多い食道・胃静脈瘤などの門脈圧亢進症に対しても内視鏡治療やカテーテル治療をすることができます。膵臓・胆道領域では、膵癌や胆道癌のため胆管が狭窄し胆汁がうっ滞することで起こる閉塞性黄疸に対して内視鏡的胆管ステント留置術を行っています。また、内視鏡的に十二指腸乳頭括約筋を切開し、総胆管結石を除去する内視鏡的胆管結石除去術も多く行っています。さらに、膵癌を診断するための超音波内視鏡下穿刺生検法(EUS-FNB)も積極的に行っています。

■腎臓内科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K6121イ 末梢動静脈瘻造設術(内シャント造設術)(単純) 20 16.15 13.8 10 64
K616-41 経皮的シャント拡張術・血栓除去術(初回) 11 11.73 8.64 9.09 68
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満)
K6151 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(止血術)
K596 体外ペースメーキング術

【診療科からのコメント】

当科は、血液浄化療法室も担当しており、末期腎不全の患者さんに対しては、3種類の腎代替療法(血液透析、腹膜透析、腎移植)を良く説明し全ての治療法に対応すべく腎臓外科との緊密な連携・協力体制を確立しています。当院の血液浄化療法室は、合併症・急変などで入院を要する患者さんに対応すべく、通常の維持透析患者さんには対応していません。しかしながら透析を導入した腎不全患者のかかりつけ医として、合併症治療・急変時や透析アクセス不全時の管理などに腎臓外科医と連携して積極的に関与し、患者さんの利便性を高めるようにしています。ここに記載されている処置は、腎不全の患者さんの透析導入、合併症治療に必要な処置です。

■呼吸器外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超える) 52 2.19 9 0 70.21
K5131 胸腔鏡下肺切除術(肺嚢胞手術(楔状部分切除)) 44 7.59 7.14 0 35.5
K514-21 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(部分切除) 29 2.79 6.03 0 68.93
K514-22 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(区域切除) 12 2.08 7.92 0 68.5
K5143 肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超える)

【診療科からのコメント】

肺癌で手術適応のある患者さんには、年齢・全身状態・腫瘍部位・進行度に応じて最適な術式を選択しますが、そのほとんどは胸腔鏡下手術を行っています。肺癌患者さんの平均年齢は全国的にも高齢化が進み、術後の回復に日数を要する様になってきています。同様に、高齢者の増加とともに標準的な肺葉切除が不可能となり、部分切除とならざるを得ない症例も増加傾向にあります。一方、近隣には大学などの学校が多いことから気胸の症例も多く、手術適応がある場合にはほぼ全例で胸腔鏡下手術を行っています。また、人口の高齢化により、COPDに合併する気胸も増加傾向にあります。他科より依頼された転移性肺腫瘍に対しても積極的に対応し、適応を十分に検討した上で切除を行っています。さらに、多摩地区は喫煙率が高く、間質性肺炎に合併する肺癌も多く、標準的な肺葉切除を行えない場合も増えてきています。分子標的治療が耐性となった場合にはその耐性遺伝子を検査するため、増加傾向にある悪性胸膜中皮腫の診断目的に部分切除や試験切除を行う場合もあります。浸潤性胸腺腫や重症筋無力症を伴う胸腺腫などの縦隔腫瘍も積極的に手術を行っています。

■心臓血管外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 47 1.28 5.15 0 75.85
K5522 冠動脈、大動脈バイパス移植術(2吻合以上) 29 6.69 33.59 6.9 68.59
K5612ロ ステントグラフト内挿術(腹部大動脈) 24 3.42 6.88 0 80.04
K617-4 下肢静脈瘤血管内焼灼術 14 0.93 0.93 0 68.21
K5551 弁置換術(1弁) 13 12.31 29.15 0 68.85

【診療科からのコメント】

現在、当科では心臓手術、大血管手術、末梢血管手術のすべてに対応できる体制をとっております。特に、最近進歩の著しい低侵襲手術としての血管内治療に対しては、大動脈瘤のステントグラフト内挿術、動脈閉塞に対する血管内治療、静脈瘤のレーザー焼灼術等を多くの患者さんで積極的に行い、安全で確実な手術の実現に努めています。また、それぞれの治療に対して良好な成績を得るため、心臓血管外科専門医、ステントグラフト実施医・指導医、下肢静脈瘤血管内焼灼術実施医・指導医などの専門的な資格を有する医師が治療にあたっております。一昨年からの新型コロナウイルス感染症の蔓延はありますが、各疾患数とも大きく変化はなく、行う手術の上位5種は昨年と変わりがありません。

■消化器外科・移植外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 77 4.58 9.1 3.9 71.79
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 59 1.93 4.37 0 66.27
K6335 鼠径ヘルニア手術 50 1.44 2.7 0 75.46
K6113 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) 47 0.51 5.45 0 71.02
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 33 4.48 12.82 0 68.48

【診療科からのコメント】

当科では、食道から直腸までの消化管、肝臓・胆道・膵臓の癌を始めとして、胆石症や虫垂炎、鼠径ヘルニアなどの良性疾患も含めた消化器疾患全般の治療を行なっています。手術治療では、結腸癌・直腸癌の患者さんが大変増えており、それらの患者さんの手術を多く手がけるとともに、内視鏡外科学会技術認定医7名を擁して、腹腔鏡下胆嚢摘出術を始め、胃癌、食道癌、結腸・直腸癌、肝臓癌、鼠径ヘルニアなどの腹腔鏡下手術も多く施行しています。また、抗癌剤治療や在宅点滴療法のためのポート造設も数多く手がけています。肝胆膵悪性疾患の治療は当科の最も得意とする分野であり、高難度の手術治療を行うだけでなく、減黄や胆管合併症治療のための内視鏡的胆道ステント留置術などを消化器内科と共同して数多くの症例に施行しています。

■腎臓外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K6121イ 末梢動静脈瘻造設術(内シャント造設術)(単純) 100 1.5 3.39 4.00 66.5
K6147 血管移植術、バイパス移植術(その他の動脈) 22 2.91 8.77 9.09 70.55
K616-41 経皮的シャント拡張術・血栓除去術(初回)
K635-3 連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術
K6072 血管結紮術(その他)

【診療科からのコメント】

当科では、慢性腎不全等の腎障害がある方に対する外科手術を行っています。具体的にはバスキュラ-アクセスとそのトラブル症例、シャント狭窄に対する経皮的シャント拡張術、腹膜透析カテーテル、2次性副甲状腺機能亢進症、生体および献腎移植、膵腎移植等の手術を施行しています。

■脳神経外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 30 0.17 11.6 20.00 80.17
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術(その他) 20 6.45 39.4 15.00 69.65
K1771 脳動脈瘤頸部クリッピング(1箇所) 14 1.71 50.5 64.29 67.36
K1642 頭蓋内血腫除去術(開頭)(硬膜下) 13 2.69 35.85 69.23 67.85
K1643 頭蓋内血腫除去術(開頭)(脳内) 10 0.4 40 90.00 61.7

【診療科からのコメント】

当科は、脳卒中(くも膜下出血、未破裂脳動脈瘤、脳出血、頸部内頚動脈狭窄)、脳腫瘍(良性腫瘍、グリオーマ、転移性脳腫瘍、頭蓋底腫瘍)、脊椎・脊髄疾患(変性疾患、外傷、脊髄腫瘍、脊髄血管障害)、てんかん、水頭症、頭部外傷などの外科治療を中心に行っています。血管内治療としては、脳塞栓に対する機械的血栓回収、脳動脈瘤に対するコイル塞栓術、頸部内頚動脈狭窄に対するステント留置術(CAS)を中心に行っています。手術にあたっては、神経内視鏡、ナビゲーションや融合画像、神経モニターリング、術中脳波検査などを駆使して、安全な手術を実践しています。

■整形外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K0821 人工関節置換術(膝) 136 3.89 15.04 2.94 71.76
K0461 骨折観血的手術(大腿) 30 3.43 17.8 40.00 71.23
K1425 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(椎弓切除) 25 2.35 12.64 8.00 72.76
K1422 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(後方又は後側方固定) 24 3.92 28.38 25.00 73.38
K0462 骨折観血的手術(前腕) 22 2.91 9.23 9.09 57.41

【診療科からのコメント】

人工関節置換術は136件あり、増加傾向であり入院後術前からリハビリ指導など行うため平均術前日数3.89日と短縮傾向であった。コロナの影響で今年度は外傷は減少傾向ですが、3次救急でもあり救急からの外傷はそれなりにあり、多発外傷にてすぐに手術できない症例や、大学病院であるため他の内科疾患など合併症のあるリスクの高い症例が集まります。脊椎疾患は入院後、手術前に脊椎造影検査をする症例も多いです。

■産科・婦人科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K8982 帝王切開術(選択帝王切開) 37 1.81 6.57 0 34.19
K877 子宮全摘術 30 1.3 7.33 0 52.5
K8981 帝王切開術(緊急帝王切開) 30 2.77 7.87 3.33 32.57
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(腹腔鏡) 27 0.85 4.15 0 38.19
K867 子宮頸部(腟部)切除術 23 1 1.04 0 42.74

【診療科からのコメント】

産科は、合併症を伴う妊娠が多いため、分娩数の約40%が帝王切開術となっています。婦人科は、八王子市の子宮がんの二次検診を行っているため、子宮頸部円錐切除、また子宮悪性腫瘍手術症例も多数行っています。婦人科の良性腫瘍は、術後のQOLを考慮し積極的に内視鏡治療を行っています。

■眼科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入)(その他) 445 1.01 1.01 0 75.79
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術(網膜付着組織を含む) 298 0.92 4.64 0 63.24
K2802 硝子体茎顕微鏡下離断術(その他) 87 0.93 2.26 0 70.33
K281 増殖性硝子体網膜症手術 85 1.11 5.72 0 57.34
K2683 緑内障手術(濾過手術) 14 1 4.93 0 64.5

【診療科からのコメント】

当科においては、手術件数のトップを誇るのは白内障手術であり、手術時間は総じて10分以内、術翌日または翌々日に退院することが可能です。ただし、水晶体亜脱臼や虹彩緊張低下症、過熟白内障といった難症例も多く、状況に応じて硝子体手術を併用することもあります。白内障手術は翌日から見えるだけでなく、術後の外見にまで考慮して結膜出血を起こさないような努力をしています。硝子体手術は500例程度ですが、増殖硝子体網膜症や重症増殖糖尿病網膜症といった難症例が多いのが特徴です。最先端の小切開アプローチで行っているため、縫合をすることは殆どなく術後に異物感を感じることは少ないと思います。
新型コロナウイルス感染症の影響もあり、比較的緊急性の低い白内障手術件数は制限されることもあり、全体の件数は低下しています。

■耳鼻咽喉科・頭頸部外科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K3772 口蓋扁桃手術(摘出) 38 1.42 7.37 0 36.79
K340-5 内視鏡下鼻・副鼻腔手術3型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) 21 1.67 4.52 0 62.71
K4611 甲状腺部分切除術、甲状腺腫摘出術(片葉のみ) 20 1.05 7.65 0 59.9
K368 扁桃周囲膿瘍切開術 19 0.26 6.37 0 39
K340-6 内視鏡下鼻・副鼻腔手術4型(汎副鼻腔手術) 18 1.33 4.61 0 53.89

【診療科からのコメント】

当科では、鼻茸、慢性副鼻腔炎、鼻中隔弯曲症に内視鏡を用いた手術を積極的に行ってます。重症症例にはナビゲーションシステムを用いた手術を行っています。入院期間は約1週間です。咽喉頭領域では炎症を反復している扁桃炎症例、IgA腎症など、病巣感染症に対して口蓋扁桃摘出術、扁桃周囲膿瘍症例に対して切開排膿術を行っています。頸部に関しては、甲状腺腫瘍の手術を多く行っています。

■皮膚科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除) 52 0.56 8.65 0 77.08
K0063 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径6cm以上12cm未満)
K0052 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)(長径2cm以上4cm未満)
K0053 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部)(長径4cm以上)
K293 耳介悪性腫瘍手術

【診療科からのコメント】

当科は、近隣の医療機関から多数の皮膚腫瘍の患者さんが紹介されてきます。1位の皮膚悪性腫瘍切除術は、対象疾患として悪性黒色腫、有棘細胞癌、基底細胞癌、乳房外パジェット病などがあります。悪性腫瘍は広範囲の切除を要するため、入院上の周術期管理が必要であり、患者数が多くなっています。2位~4位の皮膚皮下腫瘍摘出術は、良性腫瘍で部位と大きさにより区分が分かれていますが、比較的大きく出血量が多く予想される症例を中心に入院による手術を行っています。5位の耳介悪性腫瘍手術は,耳介という特殊部位の手術になり、変形など目立ちやすいため比較的難易度の高い手術として行っています。

■泌尿器科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用) 94 1.53 6.04 1.06 75.31
K7811 経尿道的尿路結石除去術(レーザー) 45 1.4 3.44 0 63.91
K773-2 腹腔鏡下腎(尿管)悪性腫瘍手術 26 2.08 10.04 3.85 74.85
K841-21 経尿道的レーザー前立腺切除術(ホルミウムレーザー) 19 1.63 4.53 0 73
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 11 1.09 8.27 9.09 75.27

【診療科からのコメント】

当科の最も件数が多いのは経尿道的膀胱悪性腫瘍手術(TURBT)ですが、当科では膀胱腫瘍の病理診断をより正確に行えるように術前にアミノレブリン酸を内服し、通常の内視鏡では認識できない平坦な膀胱癌を特殊な光で発光させて切除するPDD-TURBTを行って、短期再発率の低下に貢献しています。
副腎腫瘍や腎細胞癌、腎盂尿管癌に対しては術後疼痛の少ない腹腔鏡手術を積極的に行っています。
ホルミウムレーザーを用いた尿路結石症の手術や前立腺肥大症の手術を多く施行しています。

■救命救急センター

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K178-4 経皮的脳血栓回収術 26 0.19 16.46 69.23 74.54
K386 気管切開術 24 7.92 25.92 79.17 62.67
K6151 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(止血術) 17 1.41 10.41 41.18 70.18
K654 内視鏡的消化管止血術 15 0.53 8.93 13.33 70.47
K6021 経皮的心肺補助法(初日)

【診療科からのコメント】

脳卒中の一つである脳梗塞の超急性期治療にはtーPA静注療法と経皮的脳血栓回収術があり、当救命救急センターと脳神経外科、脳神経内科で力を入れている診療です。そのほか、脳血管、胸腔、腹腔血管からの出血に対しては、いち早く止血を行うべくカテーテル治療や内視鏡的止血術が必要で、当救命救急センターでは常時施行できる体制を整えています。呼吸不全、意識障害のある患者さんは、入院中に気管切開術を受けていただく場合がありますが、原疾患が回復した後も自立した生活が困難な場合は近隣の医療機関等と連携し、自立に向けた支援を行う必要があります。

■乳腺科

Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢
K4762 乳腺悪性腫瘍手術(乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 73 2.49 2.42 1.37 62.73
K4763 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術(腋窩部郭清を伴わない)) 48 2.29 4.38 2.08 72.38
K4765 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術・胸筋切除を併施しない) 23 2.43 6.52 0 66.17
K4764 乳腺悪性腫瘍手術(乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴う)) 13 2.69 6.31 0 63.54
K4741 乳腺腫瘍摘出術(長径5cm未満)

【診療科からのコメント】

当科は、高齢かつ進行症例が多く、乳房切除術や腋窩郭清症例が多い傾向にあり、数年前から温存手術も増加してきました。入院期間の延長につながるような術後の合併症は少なく、全国平均に比べ在院日数は短くなっています。
コロナ禍で、受診控えが懸念されるここ数年でしたが、当科では毎年手術症例数が増加しています。

7)その他(DIC、敗血症、その他の真菌症及び手術・術後の合併症の発生率)

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DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 1 0.10
異なる 8 0.19
180010 敗血症 同一 29 0.25
異なる 20 0.19
180035 その他の真菌感染症 同一 1 0.1
異なる 1 0.09
180040 手術・処置等の合併症 同一 64 0.55
異なる 9 0.18

【診療科からのコメント】

医療の質の改善に資するため、手術・処置の合併症や感染症の発生率を示したものですが、この表における発生率とは、上記のICD10が「もっとも医療資源を投入した傷病名」として選択され、そのICD10に基づいたDPCコードが付与された症例数を集計したものを全体の症例数で除することで計算された率であり、実際の合併症発生率とは異なっています。
入院契機が「同一」となっているものは、この傷病名がきっかけとなって入院された症例数になります。入院契機が「異なる」となっているものは、他の病気で入院された症例で、入院中に重篤な感染症を発症したり、手術の合併症があった場合の症例数です。
当院の手術・処置等の合併症の件数が多い要因の一つとして、透析患者さんの透析シャント閉塞の対応があげられます。これは、他の医療機関で透析をされている患者さんのシャントが閉塞してしまったなどのトラブル時に当院が紹介されるためです。

ICD10 傷病名 入院契機 症例数 発生率
T808 輸液,輸血及び治療用注射に続発するその他の合併症 同一 1 0.01
T809 輸液,輸血及び治療用注射に続発する詳細不明の合併症 同一 1 0.01
T810 処置に合併する出血及び血腫,他に分類されないもの 同一 3 0.03
T810 処置に合併する出血及び血腫,他に分類されないもの 異なる 6 0.05
T812 処置中の不慮の穿刺及び裂傷<laceration>,他に分類されないもの 同一 2 0.02
T812 処置中の不慮の穿刺及び裂傷<laceration>,他に分類されないもの 異なる 1 0.01
T813 手術創の離開,他に分類されないもの 同一 1 0.01
T813 手術創の離開,他に分類されないもの 異なる 1 0.01
T814 処置に続発する感染症,他に分類されないもの 同一 9 0.08
T815 処置後に体腔又は手術創に不注意に残された異物 同一 2 0.02
T818 処置のその他の合併症,他に分類されないもの 同一 3 0.03
T818 処置のその他の合併症,他に分類されないもの 異なる 2 0.02
T820 人工心臓弁の機械的合併症 同一 2 0.02
T820 人工心臓弁の機械的合併症 異なる 1 0.01
T824 血管透析カテーテルの機械的合併症 同一 3 0.03
T827 その他の心臓及び血管の人工器具,挿入物及び移植片による感染症及び炎症性反応 同一 7 0.06
T827 その他の心臓及び血管の人工器具,挿入物及び移植片による感染症及び炎症性反応 異なる 1 0.01
T828 心臓及び血管のプロステーシス,挿入物及び移植片のその他の明示された合併症 同一 43 0.36
T835 尿路系プロステーシス,挿入物及び移植片による感染症及び炎症性反応 同一 1 0.01
T840 体内関節プロステーシスの機械的合併症 同一 4 0.03
T850 脳室頭蓋内(交通性)シャントの機械的合併症 同一 1 0.01
T857 その他の体内プロステーシス,挿入物及び移植片による感染症及び炎症性反応 同一 12 0.10
T857 その他の体内プロステーシス,挿入物及び移植片による感染症及び炎症性反応 異なる 2 0.02
T858 体内プロステーシス,挿入物及び移植片のその他の合併症,他に分類されないもの 同一 1 0.01
T881 予防接種に続発するその他の合併症,他に分類されないもの 同一 1 0.01
T886 適正に投与された正しい薬物及び薬剤の有害作用によるアナフィラキシーショック 同一 3 0.03

更新履歴

平成28年9月30日 臨床指標公開
平成29年9月29日 平成28年度データに更新
平成30年9月28日 平成29年度データに更新
令和元年9月30日 平成30年度データに更新
令和2年9月30日  令和元年度データに更新
令和3年9月30日  令和2年度データに更新
令和4年9月30日  令和3年度データに更新