脳神経内科ってどんな科???
神経内科 脳神経内科 田口 丈二
神経内科から脳神経内科へ
日本国内では精神神経医学から分かれるかたちで1970年代に“神経内科”を標榜することとなりました。これまで、患者さんや医療者側からも、神経内科の守備範囲(診療内容)が分かりにくいと言われていました。新聞の全面広告に「神経内科をご存じですか」というキャンペーンをしたこともありましたが、心療内科・神経科などと混同されることがありました。
今回、2017年に日本神経学会内で脳神経内科への名称変更が決まり、2018年より各施設で科名変更の判断がなされます。当科は2018年4月より科名を変更いたしました。
脳神経内科という名称は順天堂大学や都立病院でも用いられていましたので、聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。過渡期は、神経内科、神内(しんない)、脳神経内科、脳内(のうない)などの呼称が混在することが予想されます。2007年に痴呆症が認知症へ名称変更となりましたが、認知症という用語は今や一般的になっています。数年後には広く浸透していくことと思われます。
外科でもなければ精神科でもありません
神経内科から脳神経内科へと名称変更となり、手術をおこなう脳神経外科の内科版という位置づけが明確になりました。消化器内科と消化器外科、呼吸器内科と呼吸器内科、循環器内科と心臓血管外科のような、内科と外科の関係となります。
脳神経外科は、動脈瘤、脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)、脳腫瘍、脊髄疾患、外傷性疾患を扱います。心療内科は、心が体に影響を及ぼす心身症を主な対象疾患にしています。精神神経科(メンタルヘルス科)は、精神障害(統合失調症や躁うつ病など)・睡眠障害・不安障害などを主な対象疾患としています。神経科という名称が精神医学系の標榜科となっているのは、神経内科が精神神経医学から分離した際に精神科系が引き継いだためとされています。