痛みを中心に診療する、ペインクリニックのご紹介
筆者: 麻酔科 西山 隆久
【はじめに】
ペインクリニックは、痛みの診療部門です。このコーナーでは、ペインクリニック科や整形外科、麻酔科などで行われているペインクリニックの痛みの治療を解説したいと思います。
【痛みの悪循環とは】
急な痛みは、急性痛といいます。急性痛でも強い痛みは、ペインクリニックの治療の対象になります。ほとんどの急性痛は自然に治りますが、2,3ヶ月以上続くことがあり、これを慢性痛と言います。慢性痛では、痛みが痛みを誘発し、痛みの悪循環になります。痛みの性質は刻一刻と変化するため、治療は患者さん一人ひとり異なります。ペインクリニックでは痛みの悪循環を断ち切る治療をオーダーメイドで行います。
【ペインクリニックの治療方法】
急性痛では、いわゆる痛み止めが有効ですが、慢性痛では、抗けいれん薬、抗うつ薬、医療用麻薬などを駆使して治療に当たります。また神経ブロック療法は、痛みの悪循環を断ち切る方法のひとつで、著効することがあります。神経ブロック療法とは、神経や神経の周辺に局所麻酔薬などを注射して、痛みをなくす方法です。麻酔薬が神経に作用し、痛みの伝わる経路をブロックすることで、痛みを取り除きます。近年は、痛みが少ない、安全で効果的な方法で神経ブロックを行う施設が多くなってきました。
【ペインクリニックの対象疾患】
ペインクリニックの適応疾患は様々あります。急性、慢性いずれの痛みも対象になります。 一方で急性虫垂炎や骨折・やけどなど、炎症や外傷で優先する治療が必要な場合は、対象になりません。対象疾患は、脊椎の疾患による痛み(椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、いわゆるムチウチ症など)、顔面の痛み(三叉神経痛など)、神経ブロックが有効な痛み以外の疾患(顔面神経麻痺、突発性難聴など)です。
以上、ペインクリニックについて解説しました。痛みは様子を観ずに、早めにペインクリニックの治療を紹介してもらいましょう。